連載小説「クラリセージの調べ」5-1
※ 診察シーンは一例です。治療については専門医にご相談下さい。
四度目の人工授精も上手く行かず、私は行き詰まりを胸にフサちゃん先生の前に座っている。
「何だか疲れてしまいました」
先生は、寄り添うような眼差しを私に注ぐ。
「治療を続けていると、そんな気持ちになることがありますよね。よく頑張っていると思います」
シンプルな言葉だが、神経質になっている患者を刺激しないよう、注意深く選ばれた響きがする。今まで何人もの患者にかけてきたかもしれないが、自分だけに差し出され