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より良い何かを求めて。「すべての仕事はクリエイティブ・ディレクションある。」古川裕也

 本書では、クリエイティブ・ディレクションの仕事を、「課題 → アイディア → エクゼキューション」の方程式のすべてを考え、決定し、実行することと定義し、より具体的には「1.ミッションの発見 → 2.コア・アイディアの確定 → 3.ゴールイメージの設定 → 4.アウトプットのクオリティ管理」の4つを行うこととしている。また、クリエイティブ・ディレクションは「技術」であり、その故、上手下手があり、正しく繰り返せば上達可能であるとしている。
 よく整理するとこうなるのだろうなと納得するクリエイティブ・ディレクションの方法論だが、これまでの自分の仕事において、それが全くできていなかった、意識すらできていなかったということに愕然とする。実行するための方法論がここまで明確に確立されているのであるから、まずは、その通りに真似てやってみるしかない。各工程の質をできる限り高めていけば、アウトプットの質が飛躍的に高まる予感がする。
 コア・アイディアを確定するというところで、「ほかの可能性をすべて捨て去ること」という話が印象に残った。どのアイディアが適切なのかを考えるのではなく、これはないという部分を削り落としていき、最終的に取り組む対象をできる限り限定しておくのがよいということだ。これは、頭では理解したが、実地でやってみないことには、まだ実感を持てていない。
 自分の守備範囲を広げることを考えるのではなく、まずはひとつの分野で抜きんでて認められれば、「これもできるでしょ?」と周囲から新たな分野を振られる、という話ももっともだと思った。
 また、育成や継承という話の中で、ある分野で抜きんでている「見物価値」のある人にしか、それはできないという話があった。実地で、仕事をしているところを見せることで、自ら学び取っていくしかないのである。過去のコンテクストを理解したうえで、驚きと納得を与え得るsomething newを加えていくためには、過去の優れた事例に身を浸す必要がある。
 自分の軸に沿って、妥協なく、美しく生きて行きたい。


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