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音符のひとつひとつは音楽家の解釈である。「革命前夜」須賀しのぶ

読書記録、読了:2020.07

 音楽大学の学生たちが、自分の音を追及してもがき苦しむさま。音楽性に対する遠慮のない批判を投げつけられることで、自然と素の自分をお互いに出せる。新しい人間関係を築いていく際に、共通点を探すまでが大変だが、音楽家には、音楽という共通点があることで、評価されるか、関わる価値がないと見限られるか、という最初に行われるコミュニケーションに要する時間が大きく短縮される。
 事件に巻き込まれた際に、DDR(東ドイツ)の人々が、普段は隠している心の内が否が応でも露出してきて、自分も追体験をするように、壁の東側で生きる人々があの時代、どのように生きていたのか、ということに対する、想像する際の視座が得られた。
 音楽に関わる登場人物が皆音楽を愛していて、自分の立場はあっても、音楽に対して真摯に向き合い、裏切らない姿が印象的だった。


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