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巨人小笠原、メンヘラ配信者と同棲する【#7 平静を装う、堕天使】

 初めて感じる恐怖に怯え、あめちゃんの家を出たのは巨人小笠原(48)。
 とにかく知り合いに会いたい。
 そんな想いで五反田にある二岡店長の居酒屋へと向かった。

 ち~ん(笑)。
 入店を知らせるベルが鳴る。
 「いらっしゃいませ……あっ、カッスさんじゃないですか!」
 「こんばんは二岡くん。今日も五反田セットを頼むよ」
 カッスは334gで9800円である超高級品を注文した。店長の気分によって、おまけでもらえるチケットが変わるという。

 しばらく雑談をするが、やはりカッスは日中の光景を思い出してしまう。
 「カッスさん、何か元気ないですね」
 「いや~、あめちゃんが狂っちゃったみたいでね。オレの目の前で市販薬を大量に服用したんだ」
 「それはいけませんよ。何か別のストレス発散法を考えないと」
 「じゃあ、君が前にやったことをやらせるか」
 二岡の顔色が変わる。

 「付き合っている女性に対して何を考えていr」
 「君が言う資格なんかないだろ。9800円じゃなくて、もっと安いホテルにしないとな」
 「でも……」
 「ASMR配信もネタ切れなんだ。こういうのが好きなオタクは多いに決まってるじゃないか」
 「しょうがないですね、まあ僕は部外者なんで何とも言えないです」

 「お会計は9800円になります。そしてこれがサービスチケットです」
 「ありがとう。また来るね」
 カッスは店を出た直後に、チケットを確認する。ところが、渡されたのは何とスキー場のペアチケット。カッスは何かを思い出し無事死亡した。
 なお、明日の昼間には間に合う模様。

 一方、病室の小笠原コーチは、未だに目覚めない。

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