巨人小笠原、メンヘラ配信者と同棲する【#11.023(終)】
「嘘でしょ、何でアンタが……。私だけの世界、私だけの夢、私だけの力。私は平和な世界の創造主。そうなったはずなのに……」
「カッスのくせに、何で死んでないのよ!」
「カッスって誰だ。俺はそんなヤツは知らん。俺の愛する『地球』という世界を壊すヤツは、許すわけにはいかないな」
「じゃあ……あなたは……?」
「俺は『ガッツ』だ」
そう言い残すと、ガッツは魂のフルスイングで「超絶最かわてんしちゃん」の羽を粉砕。世界もどんどん元に戻っていった。
「あれ……。私は今まで何を……」
「目が覚めたかい、あめちゃん。悪い夢でも見たいたんだ」
「この白い羽根は……」
「こんなものがなくても、君は十分やっていけていたじゃないか」
「そんな……。インターネットエンジェルになれなくなったら、私はどうすれば……」
「いや、君なら絶対1人でもやっていけるよ」
ガッツを白い光が包み込む。
「ああ、もう時間切れみたいだ……。短かったけど、30日間ありがとうな、あめちゃん」
「ねえ!行かないで!ガッツさん!」
「いや、理由はどうであれ、あんなことをしたんだ。俺はあめちゃんと一緒になる権利はない。それに、俺を妻と2人の娘が待ってるんだ。またな、あめちゃん」
「行かないで!」
ガッツは消滅した。
その時、病室にて。
「小笠原さんが、意識を取り戻しました!」
「あなた!みんな心配してたのよ!」
ガッツは話し始める。
「何か変な夢を見ていたみたいなんだ。ん……?」
手元には女性が写っているカードがあった。
「これって……。有名配信者の『れいん』さんの写真じゃないの!?どうしてあなたが持っているの……?」
「私たちも、もちろん知りません。主人のポケットには何も入っていませんでしたし」
「どういうことなんだ。良かったら、俺に『れいん』さんの動画を見せてくれないか」
「分かったわ、あなた」
「やっほー!こんばんは!れいんだよー!」
「今日は私の宝を紹介します!じゃーん!」
「小笠原道大さんのサイン色紙です!」
「あなたのサインを家宝にしている配信者みたいだから、覚えていたのよ」
「思い出しました」
ガッツはそう力強く言うと、退院するための荷作りを始めたのだった。
【#11.023(終) 小笠原道大、帰宅する】
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