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「マッサゲタイの戦女王」刊行記念エッセイ第五回 エジプトの迷惑な王様

今日はペルシアともマッサゲタイともあまり関係がないのですが😓

ヘロドトス・歴史より
古代エジプトで、もっとも広大な領土を拓いたというセソストリス王の子、プエロス王の話

神罰によって十年の間、盲目にされていたプロエス王は、十一年目に刑罰の期間が終わったので、自分の夫としか交わったことのない婦人の尿で目を洗うと治るという神託を授かった。

さっそく自分の妻の尿で洗顔したが、目が見えるようにならない。
手当たりしだいの人妻の尿で洗顔したが、治らない。
ようやくある女性の尿で盲目が治ったあと、自分の妻を含め、効き目のなかった尿を提供した女性たちを集めて焼き殺し、自分の目を治した女性と結婚したという。

尿なんかで目を洗うのはかなりの拷問だと思う。
塩分とか、アンモニアとか。
それに、効果のない尿を提供した女性たちが自分の夫以外とナニしていたとか、王様とは関係のないことだし。
そんなことで焼き殺されてもなぁ。
妃が処罰されるのはまぁ、わかるけども。
というか、その王様と結婚する羽目になった女性には夫がいたということなので、そのオットはどうなってしまったのだろう。浮気したことないってことは、夫とはラブラブだったんだろうし。好きでもない王様と結婚させられるために、引き裂かれちゃったわけですよね。

そもそも神罰が下るような不遜なことをしたのはプエロス王なので、女性たちにはたいしたとばっちりだ。

「マッサゲタイの戦女王」の元ネタになったくだりは、ヘロドトスの「歴史」上巻の前半にあります。上中下巻と三冊ある岩波文庫は、当時のオリエント各地の伝承や文化を網羅し、アラビアンナイトばりの小話や伝承、イソップみたいな寓話も含んでいるので、思ったより面白いです。

マッサゲタイとペルシアの凄絶な戦争も記録されていると思えば、そんな脱力系の逸話も残してくれたヘロドトスでした。

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