反面教師たち

「たしかにつらい目にあったし、もとより繰り返したくないとは思うんだけれど」
彼女は考え考え、ゆっくりとじぶんの考えを表明する。

「親の愛情もしんどいものでね。
虐待やネグレクトも過酷だとは思うけれど、
なまじ『親の愛』って体裁をとられると、反論できないのよね…
『あんな立派なご両親なのに』とか
『あなたを思えばこそじゃないの』ってね。
それが、負担なのにね…」

わたしもそう思う。
「あなたのためを思って」の罠。

多くの友人たちも、あきらめるか、スルーして親孝行するか。

「『あんたのために』離婚しないのよ、我慢しているのよ、云々。
それらを、子どもには繰り返さない。
わがままに見られても、批判されても、
わたしは自分のしたいことをして、子どもに制限されたことにしないし、
子どもを愛情の鎖でがんじがらめにしたくなかった。
それが『成功か』と言われれば微妙なところだけれど、
すくなくとも、我が家はみんな、自分に正直に生きている。
そして、それは親の反面教師のおかげだと思うようにしている」

彼女に同意します。

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