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住友の精神「自利利他」に学ぶ

こんにちはshiiです。日経新聞の記事より。
まずは引用。

住友の事業精神の一つに「自利利他公私一如(じりりたこうしいちにょ)」がある。「住友の事業は住友自身を利するとともに、国家を利し、かつ社会を利する事業でなければならない」「企業は私的な存在であると同時に公的な器である」という意味だ。
日経新聞より

記事自体は、林業事業における持続可能性についてもののだったが、私は「住友の精神」と言うものに強く興味を引かれた。

まずは、住友グループの歴史に触れたい。
17世紀、住友政友(まさとも)が、京都に書物と薬の店を開いたのが始まりである。
政友は「文殊院旨意書(もんじゅいんしいがき)」という、商人の心得をまとめた文書を残す。
実に書物を扱う商人らしい。これが、後々「住友の精神」として、現在まで引き継がれていくことになる。

また、住友の飛躍となったのは、南蛮の製錬技術「南蛮吹き」を日本で再現し、大阪で同業者に開示し、大阪を日本の精銅事業の中心にする。
おもしろいのは、この偉業を成し遂げたのが、住友家に婿入りした婿養子であると言う点である。

文殊院旨意書には大きく5つの心得が記されている。
ここで全てについては触れないが、日本の大手企業であれば多かれ少なかれ行動規範として、定められているような内容だ(実践できているかは別だが)。

ここでようやく、「自利利他」の精神について触れる。
自利利他は、元々は仏教用語である。自分の仏道修行によって得た功徳を、自分が受け取ると共に、他の為にも仏法の利益を図るという考え方である。
住友では、これを企業活動に当てはめ、
住友に利し、共に国家に利し、かつ社会に利す活動をせよ、としている。

林業に当てはめれば、林業のサステナビリティーを確保する活動をすることで、住友の林業に対してプラスになり、国の森林保護やサーキュラーエコノミー政策にも利益があり、社会(脱炭素)に対してもプラスになる、ということだ。

いわゆるCSR(企業の社会的責任)というやつだが、これは筆者の私見だが、真の意味でCSRを実践しようとしている民間企業は稀であると言う気がしている。

なぜなら、企業の究極の目的は「(利益を出し続けて)存続すること」だからだ。
CSRはそれに付随する活動であり、基本的に短期的な利益につながりにくい構造もあるため、口だけになりがちだ。

しかし、住友の自利利他の精神は、ひとつの最適解を提供してくれるように思える。キーポイントは「自利」が先に来ていることだ。まずは、自社の利益を考える。同時に国の利益になり、社会の利益につながる道を見つけよう、ということだ。

どうも、日本人は真面目すぎるので、この、「まず自分の利益を考える」ことに抵抗があるのではないか。私もそうだ。自分の利益ばかり考えている奴は、ろくな奴でないと義務教育で教え込まれている。

しかし、少し考えてみると、自分の利益のみを追求することは、果たして可能なのだろうか。
特に、日本の社会は察する文化で、和を大切にする。そんな社会の中において、自分の利益を得るには、知らず知らずのうちに他者の利益との間の最適解を見つけようとしてしまうのではないか。

例えば、社内で出世したいと思ったとするとしよう。まずは、社内の出世ルートや評価制度を勉強するだろう。実践のところでは、あからさまに実績をアピールすれば同僚から疎まれるし、それを嫌う上司もいる。上司にゴマをすればよいかかといえば、逆効果になることもある。能力を発揮すればいいかと言えば、自分の地位を脅威に思う上司もいる。といった具合いに、他者のことを考えてしまうのが日本人ではないか。

住友の精神で大事なのは、まず自分の利益を起点にすると意識するところだと思う。ある意味、自分の欲望を自覚するということだ。その中で、あれそれって本当に目的なんだろうか?(俺は果たして出世したいのか?出世するために仕事をしているのか?)などと考える。
そのプロセス、気づきが大事なのかもしれない。

時代は変われど、ビジネスにとって本質的に大切なエッセンスは変わらない。ある種のロマンを感じる。

これを機に、自分の会社の歴史やルーツを学んでみようかと考えている。

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