キングオブコント2019総評

興奮と爆笑の大会が終わった。

今年の大会は粒ぞろいで、スターになりそうなコンビがたくさん出てきて本当に良い大会だった。これまでこんなに面白い大会だったっけ。

振り返っても、お笑い通にはたまらないメンバーだった。空気階段、ゾフィー、かが屋。ネタ巧者のジャルジャルとネルソンズ。今年も高い実力を示したわらふぢなるお、GAG。個人的に推していたどぶろっく。全く知らなかったけど、うるとらブギーズとビスケットブラザーズもスター性を見せてすごいインパクトを残した。

まずはトップのうるとらブギーズが、完全に大会の空気を作った。二人のためだけに決勝進出者を非公開にしたのでは、と思ってしまうぐらい。無名の二人が説明不要の面白すぎる設定と圧倒的な技術で、今年の大会のレベルの高さを感じさせた。

すごい。すごすぎた。2012年のばいキングを見た時以来の衝撃だった。半端じゃなかった。これから追いかけるコンビに入った。

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キングオブコントの歴史と一緒に変わってきたお笑いの構造。バラエティで言えば、先輩後輩の関係性でお笑いを作っていく番組から、仲間同士の楽しさが前面に出た番組へ。お笑い純度の高い頭を使うようなネタから、楽しさ、分かりやすさが重視されるネタに。

その転換期は、2014年の巨匠での松本のコメント。寿司屋のネタ、「僕もこういうの、昔は好きだったんですけどねえ」。あの狂った世界観とセリフ劇。ダウンタウンを追い続けてきたコント師が、時代の変化を感じた瞬間だった。

その翌年からコロコロチキチキペッパーズ、ライス、ロッチ、にゃんこスターの「分かりやすい」「楽しい」天丼の多いネタの点数が伸びるようになる。天丼は単純に見えるけど、演者として高い技術力が必要で、ネタの題材選びも難しい。今年の優勝と準優勝もそこに特化した、絶妙なネタ選びだった。

コントに人生を賭けた審査員たちが、笑いの純度を高めに高めた結果、笑いに重要なのは、「分かり易い」と「楽しい」だった、という結論を出したのもこの大会。

着眼点が良い、構成がうまい、展開が面白い、演技力が高い、そういう技術点を競うだけの大会にならなくて良かった。バカリズムやザ・ギースのような凝りに凝った笑いも好きだけど、見たいのはとにかく大笑いできるコント。何も考えずに大笑いできるどぶろっくやザコシショウのネタは本当に素晴らしい。とにかくおめでとう。大拍手!

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大反省会についても少し振り返り。

ネルソンズ和田まんじゅう「俺らのネタ、古かったっすよねえ。ダサかったかな」

小峠「オーソドックスなネタだったけどね、分かりやすかったしすごい面白かったよ」

お笑いに熱い、格好いい会話。センスがある、と評される若手のネタの中で、ここまで真っ直ぐ爆発力を追い求めた3人のオーソドックスなネタ、よかったよ。

優勝したどぶろっくと電話をつないだウド鈴木。

「森よーすごいなーお前。本当。いやー最高だなー。本当嬉しいよ。浅井企画創立50周年。泣けたもん」

こんな電話、素敵だなあ。憧れる。

大反省会は、小峠の聞き役が素晴らしかった。ネタ職人の多いコント師らしい、弱めのエピソードにも大きくリアクションをとって、喋りやすい雰囲気を作る。良い兄貴分だ。来年以降も二人にやってほしい。

何はともかく、どぶろっく、おめでとう!!!

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