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篠笛の数字番号〈003〉

篠笛の管頭には文字が記されています。「獅子田(ししだ)」の場合は「七」という漢数字が見えますが、文字が崩れている場合も少なくなく、数字であるという認識で見ないと、片仮名の「メ」に見えてしまいます。

「七」と認識できた人も、この数字の意味するところに悩むでしょう。指孔の数は六なので、これに歌口を加えて「七つの孔」を意味するのでは?と推測した人もいますが、そうではありません。

「七」という文字は、笛の「音高」を表しています。「七」があるということは「六」や「八」の笛も存在するということになります。篠笛は「一」から「十二」の数字で音高の異なる笛を表すことが習慣で、例えば「七」の場合は「七本調子の笛」と呼ばれます。

数字が大きくなるほど、笛は細く短くなって、全体の音が高くなります。

数字が小さくなるほど、笛は太く長くなって、全体の音が低くなります。

元々は、三味線と音を合わせるために考案された分類法ですが、祭の笛の中でも、その習慣が残っています。ただし、日頃、三味線と合わせることがない祭の笛は、時代が下るにしたがって、数字と実際の音とが合わなくなってきました。現在の「獅子田」の「七」は、本来の「八本調子」で「七本調子半(七本と八本の間)」に相当します。そのため「岸極(きしのきわみ)」では、実際の「七本調子半」の音高で調律し、表記を「上七」としています。

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音が高いと、目立ちはしますが、音色が単調となって味わいに欠けます。一方、音が低すぎると、音の抜けが悪く息の量も多く必要となります。どの音が適切であるかは、祭囃子ごとに異なりますが、現在の岸和田の地車囃子の場合は「七本調子半」相当(「獅子田の七」「岸極の上七」)が良いでしょう。

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〈本日のツボ〉 岸和田には七本半の笛が合う
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