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地車(だんじり)の原木

昨日は諸用で岸和田の山手に位置する土生瀧(はぶたき)<意賀美(おがみ)神社氏子/岸和田市)へ。

令和4年(2021)の地車新調に向けて、着々と準備が進められています。大工は植山工務店、彫師は賢申堂(河合賢申)です。

地車を実際につくり上げる作業は、大工や彫師をはじめ、飾物や金具をつくる職人で、囃子に用いられる太鼓や鉦、うちが作るような篠笛も欠かせません。しかしながら、新調の企画や資金集めはもちろん自治会です。町の規模にもよりますが、200戸から300戸の地域が1億円を越える寄付を集めるという事実に、まずは驚かされます。祭の力、地車の魅力のなせる技です。

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町会館には、地車新調委員会の会報が掲示されていました。その中に平成29年の原木祭の写真を発見。岸和田型の地車はケヤキが主体となります。この大木を「木挽き」し、「製材」され、工務店で地車の部材に「木造り」され、彫師の手に渡って「彫刻」が施されて、最終的に工務店にて地車が組み上げられます。

一昔前(明治・大正期でしょうか)は、完成済みの地車を購入する形態が多かったようですが(いわゆる「仕入れ地車」)、現在では、地車の規格や彫刻の題材も、自治会と工務店・彫刻師が相談をしながら決めることが多くなっています。

もうすぐ発売の『日本だんじり文化論』(創元社)の執筆時にも苦労しましたが、地車の歴史文化を語る時に、それに携わる人々の想いを、どれだけ感じ、さらに、それを文字で表現できるか、ということも、史実の確認や考察とともに大切です。昨晩は、あらためて「地車は誰のものか?」「祭は誰のものか?」ということを考えるよい機会となりました。

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