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長歌を詠う

 長歌(ちょうか)を詠む人は、日本でさえ多分あまりいないのではないでしょうか。短歌のほうがポピュラーだし、長いのはちょっと大変そうにも思いますよね。それでも、実際にやってみるといろんな気付きがあって、大変というよりも、むしろ楽しいです。多分、「一度取り組んでみたけど、詠いにくいので、それっきりで止めました。」なんて言う人も多いかもしれません。僕の場合は、あまり難しく考えずに、ことばのリズム遊びくらいに考えて取り組んでいます。

 形の上では、長歌は「五七」を三回以上繰り返して、最後を「七」で結べば、本体は出来上がりです。最低三回の繰り返しですから、一番短いもので「五七五七五七七」です。これより長くしてもいいので、延々と「五七」をつないでいって、終わりにしたいところで「七」と結べばいいわけです。ただ、もう一つ、最後に「反歌(はんか)」と言って、その長歌の要約やまとめのようなものを一首または数首付け足します。これは、短歌と同じ「五七五七七」です。本来、反歌はつけるのが普通ですが、本体のみで十分な場合は、僕は付けなくてもいいかなと個人的には思っています。自分では必ず付けるようにしていますけどね(笑)

 身近に専門で取り組んでいる人がいたら、その方にご教示いただくのが手っ取り早いのですが、僕の場合、そういった人が見当たらず、独学でなんとかやっています。またネットなどで調べてみても、投稿している人は非常に少ないですし、今一つ、振るわない定型詩なのでしょうね(笑)

 僕なりに理由を考えてみました。多分、一番の理由は「五七」の繰り返しというリズムが捉えにくいからだと思います。ただ、長いからというのではなく、このリズム自体に乗れないということではないのかなと思いました。なぜなら、自分もそうだからです。そこで、さらに、いろいろ考えてみました。以下、詠いやすくする方法です。


(イ)初句の「五」の後で「七五」の繰り返しに切り替え、「七七」で終わる。
(ロ)初頭三句以降を「七五」の繰り返しに切り替え、「七七」で終わる。
(ハ)初頭三句よりも後の途中で「七五」の繰り返しに切り替え、「七七」で終わる。


など、比較的詠いやすい「七五」調に切り替えて続けていき、最後を「七七」で終わるようにすれば、短歌のリズムに慣れている人はもちろん、初めての人でも詠みやすいのではないかと思います。それくらい、現代人には「五七」よりも「七五」のリズムのほうが合っているということなんです。僕も、この考え方、やり方で詠むほうが、ずっとやりやすいと気づき、今ではほとんど、特別なこだわりや思い入れがある場合を除けば、「七五」のリズムの繰り返しを採用した長歌体の詩を書くことが多いです。

 詳細な作品は、『クマさんの詩』というマガジンに掲載されている詩の中の、「長歌」と題名の横に記載のあるものを参照してください。時折、調子が、二転三転…というような変則的なものもありますが、基本的には「七五」調が多いです。もしよかったら、読んでみてください。