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詩作のラボ(実験室)

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何故かあまり見ない聞かない「詩や和歌」などの実験的な試み。こんな物好きなことをしている人間は、きっとこの世にあまりいないのだろうと思います(笑)読んで、見て笑ってもらえればありが…
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2022年11月の記事一覧

霜月晦日/幻想詩【詩】

霜月の 電球の傘は夜空の輝き その斜め四十五度でうつむき加減のお月様は ご苦労様 矢庭に手で撫でてみたくなる愛しさに 厳かな この夜空に浮かんで気持ちよく 時の歌を聞いているのは おそらく 「厄介者」という呼び名の私です * 首裏の神経痛で挫けそうな夜 外では野分に紛れて あちらこちらで半鐘や すでに昨日に忘れ去られたサイレンの音が鳴り響いています 一方 乾いた真夜中の街角では 傷つき焼け焦げた両翼を畳んで座り 眠りこけている 白けた冬の天使たちが 今日も暢気に夢の中で

久方の【詩】

いとをかしき籬(まがき)の向かへに 紅葉の錦織りたるが如く 山々は照り映へて 若々しく古へに返りて 君と語らひにけり 盛(さか)り過ぎたる花は 散る定めなれども やむことなき面影に 今も火の如く心焼けをり (20221122/私之若夜=しのわかや) ※写真はCanvaからいただきました。

木を見て森を見ずⅡ/幻想詩【詩】

 試しに乗った  バスの行き先 「もう訳が分からなくなって  誰か教えて」と  夕焼けを背に途方に暮れて…夢? ★* *  *   *    * 黄昏に霧は晴れて 山の端を夕陽が 赤く染めるのに見とれて歩く道 暮れなずむ空に手を翳してみたら 何が聞こえても振り向かないで ただ一人 前を見 隧道を抜ければ 其処は何故か湖の上 今漸く問わず語りの宵闇 *    *   *  * *★  そうして…気付けば  店の軒下に  ふうわり下がった  真っ赤な提灯  賑やかな

液雨【詩】

雨が降る 雨が降る 冷たいか 温いのか 雨が降る ずっと降る 午前中 昼過ぎも 夕方も 雨が降る ずっと降る 止まないで 音がする ずっとする 暗闇で * 液雨かな いよよ終日降り続き 蕭蕭という十一月の夜 (20211117/私之若夜=しのわかや) ※これは1年前に投稿した記事の再掲です。  写真はcanvaからいただきました。

別離【詩】

悲しみの音の色は響き 力尽き果てし旅人を哀れむ 山風は多少冷ややかなれど うららかな春の如き陽気なり 君の笑顔と木々の枝間に 吹き寄する風は優しく 柔き頬を撫でては去りゆき 煌めきて日溜りの如き温もりなり 悔いても避けられぬ別れに 鳴く山雀の声は淋しく 奇しくも岩の隙間から 流れ来る湧水の如き潔さよ 穢れ無き君との恋に 明け暮れぬ若き日々を想い おおけなき出逢いを胸に まさに今朝 再び旅立ちにけり これは しかし夢 真にあらずと 望む故 その声は 別れの夢か幻と 想う

澄んだ出水/小咄【詩】

これは全体で1600文字程度のお話です。お時間のゆるす方は、ぜひお付き合いを。そうでない方は、それなりに(笑) * 昔、まだ最近のように禁煙分煙などが叫ばれていなかった時代―――仕事の休憩時、何人かの友だちと近くのレストランに昼食を取りに行った時のことである。 食事後、休憩が終わるまでの時間が暇だったので、数人の友だちを相手に、ちょっとばかり謎かけじみた次のような話をしてみた。 「毎年夏から秋にかけて、この辺りは大雨が多いよね。ところでさぁ、大雨の時の出水(でみず)っ

自分の詩について/対話【詩】

「こんな文、書いて恥ずかしくないの?」 「あっ、えっ?恥ずかしいって?なんで?」 「だってさ、ここで声に出して読んでみなよ。  私だったら、汗、出てくるわ」 「いやぁ、これ、詩だから…いいんじゃない?  そんなものだろう?」 「えーっ!?いくらペンネームだって、自分の名前で出してるんだから、  ふつう書くのをためらうんじゃないの?  特に、あなたがよく使ってる、歯が浮くような言い回しとか、  ○ッチとまでは言わないけれど、それを匂わすような言葉の使い方とか、  けっこう気

幸せな未来【詩】

>takeⅠ 知る人ぞ知る あの台詞 「我々は  セイタカアワダチソウだ!」 (泣いたら やり直し) 未完成のSF映画 楽観しそうな雰囲気と いつもの癖で大変なことに… >takeⅡ 知らぬが仏 あの醜態 「我々の  所為だか何だか分からんな」 (なるべく ヤラセなしで) 未解決の争いのドラマ 乱闘しそうでしない仕掛けの 意外なオチにたちまち仰天 >credits 幸せな 未来 しあわせなみらい シアワセナミライ 私之若夜の詩 しのわかやのうた シ

不立文字【詩】

不思議なもので、よかれと思ってのことなのですが、考えれば考えるほど話がこじれてしまって、却って面倒になっていくという状況に、しばしば私は陥りがちです。そんな時、決まって周囲では空論ばかりが飛び交っています。また、そこには本来無いはずの色や形が見事なくらい入り乱れているのです。一体それはどういうことかと、もう少し立ち入って考えてみましょう。 立ち位置は常にその中にあって、しかも自分で全体を見渡せるのが理想なのは、頭では分かっていることなのです。いや、そんな理屈よりも、寧ろ黙っ

失せ物/幻想詩【詩】

東雲のグレースケールの海の中には、妙に原色じみた目立つ色彩の軟体動物の群れが蠢いています。不気味さは美しさの印象で相殺されたので、むしろ、それらは私の目を喜ばせるのでした。 野分立ち、全面朽葉色で満たされた空には、ある有機化合物の元素配列を記録するためのメモリーがギッシリと増設されていて、ちょっと引き抜いて覗いてみましたが、複雑なだけで大して役に立たない見かけ倒しだということが判明しました。 忘れじと思うまでもなく、結局、下のものも、上のものも、どちらも要らないものなので

笑うと負けだよ【詩】

一人の 寂しい 夜には 二音の 言葉で 遊ぼう 笑うと 負けだよ * 泡・楢・多雨・二兎 海女・池・只・伊予 あわ・なら・たう・にと あま・いけ・ただ・いよ あ わ な ら た う に と あ ま い け た だ い よ * 笑うと 負けだよ ・・・・・・・・ (20221102/私之若夜=しのわかや)  写真はcanvaからいただきました。

ノビスパンとホンビノス貝/Nonsense【詩】

◆視界をすっきりと晴らしてくれる素直な心たちを乗せて◆残り僅かな時間を惜しみながらも列島を縦断する◆ワゴン車に揺られて夜は明けてゆく ◆軽やかに弾む心は◆やがて勢いを得て◆しなやかに且つ強かに日々を生きるを繰り返すのだが… ◆濃毘数般(ノビスパン)との貿易交渉の失敗から四世紀も時代が過ぎてもなお◆訳の分からぬ有り体のまま多くの人や文化と◆関わりを持つことが億劫なホモサピエンス・ヤポニカ ◆やめてほしいと言いたいところの◆しょうもない私も多分ヤポニカだが◆脳天唐竹割りの◆