湊 あくあと国語と僕

死ぬほど駄文です。

僕は昔から国語の読解問題が苦手だった。

「このときの作者の気持ちを答えなさい」
なんて問題が来たときには絶望的だった。作者が何を考えているかなんて、僕に分かるわけがないじゃないか。どうしてこうも作者の気持ちだとか、登場人物の気持ちだとか、そんなものを答えさせたがるのだろうか。当時の僕には分からなかった。

僕は昔から他人の気持ちを察することが苦手だった。

「何でお前は相手の気持ちを考えないんだ」
知るかよ。僕に分かるのは自分の気持ちだけだ。はっきりと言わない奴が悪い。それ故に僕は数え切れないほど他人と衝突し、どこにいても孤立していた。相手の表情を見たって何も分かりやしない。僕は他人からの嫌悪が怖くなって、人の目を見られなくなった。

今思えば、国語のテストで「誰某の気持ちを答えなさい」という問題は、成績がどうとか以前に、人として社会の中で生き抜く上で大事な能力を問われていたんだ。それに気づいたときには、僕はもうとっくに成人して社会に出て、他人とのコミュニケーションに常に悩まされ続けていた。
僕には地元の友達というものがほぼ皆無だ。周りからすれば僕は気難しい奴だっただろうし、付き合い切れないと思われていたであろう。それでも僕は僕なりに人に好かれたかったのだ。しかしそれは全て空回りし、やがて周りと空気が合わないことを悟り、僕は積極的に友達を作らなくなった。周りに失望されて自分が傷つくのが怖いから。

湊 あくあさんというVTuberをご存知だろうか。
彼女は他のVTuberやリスナーからも「陰キャ」と言われ、彼女もそれを自認している。
後輩からゲーム内で"接待"をされて、どう会話を繋げたらいいか分からなくて逃げ出してしまったり、焼肉屋でオーダーの際に自分から店員に注文を伝えられなかったり、病院に一人で行けなくて母に付き添ってもらったりと、彼女の「陰キャエピソード」は日々更新され続けている。
そんな彼女を見ていて、僕は思ったのだ。

あぁ、彼女は僕だ。

人との接し方が分からなくて怯えて、自分のからにこもりがちで、そんな彼女と僕は似ている。そう思ってしまったのだ。

しかし彼女は"陰キャ"なりにものすごい努力をしている。それはもはや、彼女を知る人なら誰もがその努力を認めるだろう。
彼女はバーチャル都会への遠征の際に、同事務所のタレントに家に泊めさせてもらえないかと打診をした。
彼女は2期生初の全員オフコラボを司会役として引っ張っていった。
これだけ積極的になった彼女を見て、彼女の成長を疑う者はいないだろう。

湊 あくあさんは僕がなることができなかった自分の姿だった。

だから彼女は僕じゃないし、僕は彼女じゃない。
こんなにもたくさんの人に愛され、拙いながらも頑張る彼女の姿に勇気づけられた"陰キャ"も少なくはないはずだ。
彼女はこれからどんな「陰キャの夢」を見せてくれるのだろうか。僕は楽しみでならないのだ。

僕も少しくらいは自分から他人に声をかけられる自分になれるように、頑張ってみようかな。

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