結局【MIX師】って何が必要なん?(2024年版)

どうも、しのです。
白菜がおいしい季節ですね。僕は毎晩のように鶏塩鍋うどんを作って食べてます。

さて、今回はいわゆる「歌ってみた」のミックスを始めるにあたって、何が必要なんだ? という、初心者向けエントリーとなります。
誰もが簡単に情報発信ができる現代において、正直この辺はかなり玉石混交になっているのが現状です。
そんな中で初心者がこれから何を揃えればいいのか、自分の中での考え方の整理のために書いてみます。いろいろとツッコミどころはあるかと思いますが、そういうもんだと思って温かい目で見てください。白菜たっぷりの鍋物のようにね。

※便宜上タイトルに「MIX師」という呼称を使用しておりますが、僕個人はちょっとこれを使うのには抵抗があるため、自身はMIX師を名乗っておりません。


必要なもの

簡単にまとめると、

  • パソコン

  • オーディオインターフェース

  • DAWソフト

  • モニターヘッドホンorモニタースピーカー

  • ピッチ補正プラグイン

です。順を追って説明していきます。

パソコン

これがないと始まりません。
WindowsかMacどっちがいいの? っていう論争はよく巻き起こりますが、正直どっちでもいいです。今持っているのがどっちかであればそれをそのままお使いください。
ただしスペックはある程度積んでおいた方がベター。Windowsであれば、最低限Core i5、できればCore i7以上のCPUと16GB以上のメモリがあると安心です。

オーディオインターフェース

これが何かって言うと「音声信号をアナログからデジタル、またデジタルからアナログに変換するための機器」です。
マイクから集音された音声信号はアナログ信号なので、それをパソコンで扱えるようにデジタル信号に変換してやる必要があります。また、デジタル信号のままでは音声を聴くことはできませんので、それをアナログ信号に変えてヘッドホンやスピーカーに出力してくれます。
それを「パソコンに元々入っているサウンドボードよりも高音質で行ってくれる」のが、オーディオインターフェースです。

DAWソフト

ミキシングを行うための母艦となるソフトウェアです。これがないと始まらない。

モニターヘッドホンorスピーカー

ソフトとかがあっても、聴くための機器がないことにはお話になりません。
ヘッドホンやスピーカーの中でも頭に「モニター」とつくものは、音楽制作に特化した製品となります。
通常の音楽鑑賞等に使用されるヘッドホンやスピーカーは、心地よく音楽鑑賞するための脚色がされています(カメラアプリの美肌補正みたいな感じ)。一方で、音楽制作に使用されるモニターヘッドホン/スピーカーは、そういった脚色を極力排除し、細かいディテイルのモニタリングができるように作られています。

ピッチ補正プラグイン

歌ってみたミックスの作業は、ぶっちゃけ8割はエディットです。ここはケチらずにお金をかけましょう。

オススメ製品

パソコン

初心者の方(特に学生さん)には大変心苦しいんですが、できれば最低でも15万円くらいは想定してください。BTOとかでググって出てきたメーカーで試算をしてみてください。前述のスペックを選択するとそんくらいになります。比較的安いところならパソコン工房やドスパラあたりがいいかも。
Windowsの場合はできればデスクトップPCが望ましいです。後々のカスタマイズが効くので。Macは後々のカスタマイズができないからどっちでもOK。

オーディオインターフェース

これに関しては一概にどれがオススメとは言い難いのですが、1~4万円の予算ならば、ASIO対応であれば何でもいいです(Windows)。デザインが好きとか、そんな動機で十分です。個人的には、MOTU M2Steinberg UR12Arturia Minifuse 1Focusrite Scarlett Soloあたりは比較的製品サポートが受けやすいのでオススメ。
もうちょっとお金をかけて頑張りたいというのであれば、Antelope Audio Zen Go Synergy Core、Apogee Duet 3あたりが個人的にはオススメだけど、この辺はある程度経験積んでから手を出すのがいいかも。

DAWソフト

好きなのを使いましょう。それだけです。
もっと親切なことを言うなら、比較的ユーザーの多いStudio OneCubase、MacならLogicがオススメです。いざというときに助けてくれるネットユーザーが多く、情報が多く転がっているというのが最大のメリットです。
ただし、できれば最初から最上位グレードのものを使った方がいいです(Studio OneならProfessional、CubaseならProなど)。下位グレードのものはトラック制限があったりするので、結局最上位グレードが必要になります。
それでも「続けられなさそうと判断した時に無駄になるのが怖い……」と不安なら、最初は中くらいのグレードを買っておいて、慣れてきて今後も続ける見通しが立ったら次のバージョンが出たタイミングとかで上位グレードにアップグレードするとかがいいかと思います。
あと、学生さんならメジャーどころのDAWには機能は通常版と全く同じで少々お安く手に入れられるアカデミック版がありますので、それを利用するのがいいかも。通常の30~50%くらい安く買えると思います。

ちなみに、できるだけ安く済ませたいならREAPERなどもありますが、日本語サポートが受けられない等のデメリットもあります(そもそも公式では日本語非対応なので)。
また、これを書いている時点ではCakewalk by BandLabという最強のフリーDAWがあるのですが、2023年に「いずれCakewalk by BandLabは廃止して、新しい製品を出すよ」というアナウンスがされているため、あえて選外としています。元SONARユーザーとしては推したい気持ちではあるんだけどね! 今のうちにゲットしておいた方がいいかも。

モニターヘッドホン

できればここはある程度お金をかけておきたいですね。ここが音に対する判断を下す「耳」となるわけで、最も重要な部分です。
歌を録ることがないのであれば、オープンエアー型(開放型)のヘッドホンでも問題ないでしょう。自分で歌を宅録したいなら密閉型必須です。
コスパ重視ならAKG K240 Studioあたりとか。できればaudio-technica ATH-M50xYAMAHA HPH-MT8あたりの価格帯に手を出せるとベター。
間違っても業界標準って言葉に踊らされてSONY MDR-CD900STを買うことだけはしないように。あれは録音用のモニターヘッドホンなので、ミックスやDTM用途には適していません。

モニタースピーカー

ある程度の音量出せる環境であるならば、ヘッドホンよりもこちらを導入するのがオススメです。日本の住宅事情的に厳しい家の方が多いと思うけど。
PreSonus Erisシリーズはかなりのコスパ機です。低価格帯ではいちばんのオススメかも。
置くスペースの問題があるなら、昨今の価格高騰でちょっとお高くなってしまったけど、IK Multimedia iLoud Micro Monitorはとても良かったです。

ピッチ補正プラグイン

歌ってみたミックスの作業は(ry
ユーザーが最も多いのはMelodyneシリーズですね。Assistant以上のグレードは持っておきたい。Studio One ProfessionalにはMelodyne Essentialが付属するので、お安くアップグレードできると思います。
あとは、最近ちょいちょいユーザーが増えてきたRePitch。SynchroArts製品は上位版がMelodyneシリーズに比べてお安いというのも魅力です。また、同社VocAlign Ultraは複数トラックのピッチ・タイミングを自動で揃えてくれるというのも特徴です(以上のRePitch・VocAlign Ultraの機能およびダブリング等の機能を備えた最上位版がRevoice Proとなります)
あ、あとこれはDAWのところでも書いとくべきだったかと思うのですが、ARA(Audio Random Access)対応のプラグインおよびDAWを使用すると、作業効率が爆上がりになります。もっとも、最近のピッチ補正プラグイン・DAWはARA対応のものがかなり増えてきてて、メジャーどころでは非対応のものを探す方が難しいくらいになってきてますけどね。

あると尚良いもの

サードパーティー製プラグインエフェクト

通常DAWと呼ばれるソフトにはデフォルトでプラグインがいくつか付属していますが、それだけではできることが限られてしまいます。こればっかりは仕方ない。
できることの幅を広げるために、最初は何かしらのプラグインバンドルを買ってみるのがオススメ。
個人的オススメは、iZotope Mix & Master Bundle AdvancedIK Multimedia T-RackS MAX。どちらもセールで激安になることがあり、特にiZotope製品は時々OzoneやNeutron等のプラグインの最下位版を無償配布することがあるので、そこからのクロスグレード版を購入するのがお得です。

ノイズリダクションプラグイン

iZotope RXシリーズ一択。マジでこれ一択。グレードはElementsでも十分です。とりあえず環境ノイズとリップノイズが取れれば十分。

音場補正ソフト

スピーカーやヘッドホンから出てくる音を極力フラットに補正するためのソフト。Sonarworks SoundID ReferenceIK Multimedia ARC System 2などが有名ですね。中にはNeumann KHシリーズやIK Multimedia iLoudシリーズ、Genelec製品等、スピーカーそのものに音場補正機能が内蔵されているものもあります。

吸音材・調音パネル

これはスピーカーで作業する場合にはあると良いものですね。特に物が少ない部屋だと、音が反響し放題になりますので、それらを吸収してやる必要があり、その際に使用するのが吸音材です。
ただこれは、部屋に物を増やしてやる(例えば衣類等)とかなり解消できるので、まずはそこから始めてみるといいかもしれません。
ちなみによくある誤解ですが、吸音材には防音・遮音効果はありません

スピーカースタンド・インシュレーター

スピーカーの性能を最大限発揮するためには、正しい音で聴けるようにセッティングをしてやったり、共振を抑えてやる必要があります。
特にスピーカーをデスクに置く場合は、デスクに共振しまくって、余分な低音がでてしまったりすることがあります。そういった問題を解決するのが、インシュレーターです。

また、スピーカーはツィーターが耳の高さになるようにセッティングするのがセオリーです。高さを稼ぐためにスタンドがあると便利です。
ただ、これも安く済ませる代用案があります。デスクにスピーカーを置くこと前提ですが、ホームセンターで売っているコンクリートブロックと袋ナットと消しゴムで、擬似的にスタンドとインシュレーターにすることができます。インシュレーターもどきの作り方は簡単で、消しゴムの上に袋ナットを置いて、その上にスピーカーを乗せるだけ。消しゴムの代わりにゴムマットみたいなものをコンクリートブロックの上に敷く形でもいいかと思います。
かなり効果があるのでお試しあれ。

あとがき

今回はあくまでボーカルミックスにフォーカスした内容で書いていますので、通常のトラックダウンやDTM用途においてはまた少々変わってくるかと思います。そういった人向けのエントリーもいずれ書いてみようかと思います。







ちなみに僕はミキシングをお仕事としてやっているけど、本来は作曲・編曲がメインウェポンです。

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