光文社の"光"、お届けします! | 新米人事がおくる、光文社採用日誌 Vol.3
こんにちは!光文社・人事総務部の🍊です。
熱戦が続いていたパリオリンピックも閉会式を終え、暦の上では秋となりましたが、まだまだ夏は終わりそうにありません。酷暑が続きますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
さて、本題に入る前に、今回も光文社の近況をお届けします!
前回の「採用日誌Vol.2」にて、一穂ミチさんの『ツミデミック』が第171回直木賞を受賞したことはお伝えいたしましたが、受賞を記念し、8月2日(金)に社員食堂の無料開放がおこなわれました!
受賞をお祝いする社食の特別メニュー3種類に加え、海鮮丼などのスペシャルメニューも提供されるイベントとなりました。
このようなイベントでは担当する部署が明確に決まっておりませんので、人事総務部で担当することになります。(「総」てを「務」める、と書いて総務です)
新米人事は何をしていたかというと、社食提供以外のスペシャルメニューの選定・手配やポスター作成、全社への告知などを担当しておりました。配属2カ月強でこのようなイベントを担当させてもらえるところも人事総務部のおもしろさなのかもしれません。
ふだん社員食堂にお越しにならない方も多く訪れていて、食堂がいつにも増して活気にあふれていました。サイン本の作成のために来社されていた一穂ミチさんに、社員食堂に足を運んでいただけるというサプライズもあり、大盛況のなか終了いたしました。
ちなみにこの日の夕方から夜にかけては、同じ社員食堂で、パリオリンピック男子バスケットボール「日本vsブラジル」の試合を観戦するイベントもおこなわれました。こちらは現在、光文社でおこなわれている「コミソク(コミュニケーション促進プロジェクト)」の一環なのですが、コミソクについてはまた別の機会にお届けします。
このようなイベントは今まであまり発信する機会がありませんでしたが、今後は定期的にこのnoteで発信していければと思います。
さて、今回の採用日誌Vol.3では、8月9日(金)に開催した「#Meet Up KOBUNSHA」第2回の様子をお届けします。
今回は、「編集者が教える、出版人講座・新書編」と題して、以下の内容で開催いたしました。
今回のミートアップでは、入社9年めの新書編集者Tさんと、入社3年めのEさん(新入社員noteをよくお読みの方には伝わるかもしれませんが、さぬきさん)が登壇しました。
2時間に及んだ盛りだくさんの内容のなかから、今回は、「本の選び方」「本屋の歩き方の紹介」と、「フリートーク」の内容をいくつか抜粋してお届けします!
①:本の選び方について
T:"connect the dots"(スティーブ・ジョブズ)という言葉があるように、すべてのことがどこにつながるかわからない以上、興味のないジャンルを含めて「乱読・雑食」が基本。
つまらない、嫌い、苦手という感情には「なぜそう感じるのか?」を考えて、避けずに触れることが重要。電子書籍か紙の本かにこだわる必要はなく、気になったものにはまず触れてみる。
E:自分の興味・関心に近いものだけを読んでいると、編集者として狭くなってしまう。自分のあずかり知らないところで動いている世間を知るためにも、話題書・書評コーナーに置かれているような本を読むことも必要。また、ほかの人から薦められたり、たまたま目にしたりすることが2回重なった本は買うようにしている。
仕事で読む本に関しては、担当している著者が書いたものなど、読む必要がある本や、打算的に企画になりそうな本を読むこともある。
②:本屋の歩き方について
T:基本的な「情報」(ランキングや新刊)をおさえることや、コンフォートゾーンから抜けて、いつも行かないエリアに行くこと。
企画を考えるうえでは、「ニッチなものを普遍にする」という視点から、専門書のなかを探すことも。
E:駅や店舗、フロアや棚など、なんとなくの拠点を決める。そのうえで、できれば頻度や店舗などを+1回・店舗できるとよい。
くわしい見方であれば、面陳された本を比べることやそのお店だけで大きく展開されている本を見つけること。「嫌い」と「あまり惹かれない」をちゃんと分けて、本に触れることが重要。
③フリートークから
⑴「どのように企画を考えていますか?」
T:企画を思いつかないことは普通にあるからこそ、インプットの量を増やすことしかできない。インプットをすることでおのずと企画が出るわけではないが、アイデアが出ないときはインプットが足りないことがほとんどなので、まずインプットの量を増やすことを考える。
E:日常生活で感じたちょっとした違和感や疑問が大切。
たとえば、昼間のバラエティ番組で、電車の高架下で道具などを一式貸し出したうえでキャンプ体験できる場所が紹介されたときに、「はたしてこれはキャンプと言えるのか?」という疑問から、「グランピングはキャンプと言えるのか」「そもそもキャンプって何だろうか」と考えていくようなこと。
このように企画の種になることを持っておいて、researchmapという研究者が登録しているサイトから著者になりそうな人を探し、おもしろいことができそうだな、と考えていく。
⑵企画の立て方について
T:企画の立て方には、著者先行型・アイデア先行型・著者とアイデアのセット型(拡大型)の3つがあると思っている。
著者先行型は、バズっている人や好きな著者に書いてもらうようなこと。
アイデア先行型は、上でEさんが述べたキャンプの話題のように、気になったテーマから企画を考えること。気になったテーマを国会図書館などで調べて、それについて書いている人にアプローチしたりする。
拡大型は、論壇誌などの手堅いところの論稿から広げるパターンで、著者が執筆に慣れていることが多く、どれだけ書ける人なのかや、このテーマで1冊書けるかということに事前に見当がつくことが多い。すでに出ているテーマを見て、おもしろい角度の論考を新書1冊分に膨らませる本のつくり方もある。
E:僕はアイデア先行型が多いが、スマホのメモ帳に「こういうタイトルいけるんじゃないか」「こういうアイデアおもしろいんじゃないか」「この著者おもしろい」というものをたくさん書き溜めている。それがはまるかどうかはその時次第。
おもしろい著者には他社がすでに声をかけてしまっていることも多く、声をかけるのは早いほうがいい。また、本を読んでおもしろいと思った著者に、別の内容や二番煎じになる内容で執筆をお願いするのではなく、本で扱われているものの深堀りされていない内容を、あえて別の著者に執筆をお願いしてみるなど、自分なりの提案の方法を考える必要はある。
⑶「新書をつくるときにどれくらいの知識が必要でしょうか?」
E:自分が親しんでいるある種の専門領域みたいなところがあったとしても、当然研究者のほうが知識は持っている。だからこそ、知識のない人が読んでまったくついてこれない本をつくらないためにも、知らないことは知らないと言うことがまず重要。
そして、この知識がまったくないという状態では企画に対しても鼻が利かないので、ある程度このあたりの内容がおもしろいと思えるのであれば大丈夫だと思う。
T:新書をつくりたいのであれば、カジュアルダウンするという意識が大事。たとえばパリコレはその服装を街中でする人はほぼいないが、開催されることには大きな意味がある。構造は同じで、パリコレをユニクロまではいかなくともBEAMSやユナイテッドアローズ、ZARAくらいまでカジュアルダウンするようなイメージ。
知識だけがあればいいわけではなく、大事な要素を見抜いたり、いらない要素を削ったりできる力が大切。具体的な知識としては、一般常識レベルとして、高校の教科書くらいまで理解ができていれば問題がないように思う。
⑷「就活のときからインプットに気を配るべきなのでしょうか?」
T:好きなことが多いからこそ出版社を志望していると思うので、何かに対してのアクティブなオタクであることが重要。このときの「何か」はなんでもよく、本のテーマにつながる必要もない。何かに対してのめりこむときの構造はだいたい一緒なので、これにのめりこんだというものがあればいい。
また、インプットはアウトプットをともなっているべきで、仮に5000冊の本を読んだとしても、アウトプットがなければ意味がない。
E:僕は自分の興味関心のあることにずっと触れてきていた。パッと挙げられたノンフィクション作家の名前がわからなくても、自分が得意な領域や広さなど、何かに対して情報を持っているという自負があるといい。
インプットする元は同じ本を読んでいれば変わらないが、どういう時系列で読むか、どういう組み合わせで読むか、読んだときにどういう解釈をしたかという部分は自分だけのものだからこそ、インプットをどう咀嚼したか、触発されて何をしたかということが大事になってくる。
⑸「書籍離れに対してどのような対策を考えていますか?」
T:いまの編集者には、つくるだけでなく届けることまでを考えることが必要不可欠。書籍離れは厳しい現実ではあるが、届けるところまでのすべてを考えることは楽しい仕事だと思う。
大局的な本離れに関しては、実は「活字」からは離れていないという調査結果もあるが、書籍や新書から人が離れていることは事実。また、大きな問題として、書き手が少なくなっている問題がある。誰もが気軽に発信できるようにはなっているが、140字でおもしろいことが書けても10万字は書けないという人が多くなってしまっている。
Webで読まれやすいエッセイや料理関連のものから、本でないと読まれない社会情勢ものなど、それぞれの特徴をとらえながら、本をつくっていく必要がある。
E:「書店離れ」をどうしますか?という問いには、すでに「書店はいいものだから維持すべき」という前提が含まれているが、新しいメディアや流通経路が出てきたらそれまでの業態が変化するということは、愛着とは別に歴史の必然であるということは理解している。僕個人は雑誌と漫画以外はすべて紙で買っている人間ではあるものの、一人の出版業界の人間としては、紙の出版物や書店にこだわるあまりに何か見落とすということがないように考えなければいけない。
以上、第2回ミートアップの内容を抜粋してお届けしました。
ミートアップに応募される際に皆さんから「登壇する社員に聞きたいこと」と「イベントを通して知りたいこと」をアンケートで伺っているのですが、今回登壇されたお二人には、その質問にすべてご回答いただきました!
文量も多くなりますので、「Vol.3番外編」として、別の記事でお届けします。そちらもぜひチェックしてみてください!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
「Vol.2」で内容をお届けしている「1day仕事体験」は、8月18日(日)まで応募を受け付けております。皆さまぜひご応募ください。
1日め(CLASSY、週刊誌)
2日め(書籍販売、メディアビジネス部)
3日め(古典新訳文庫、コミック)
第2回ミートアップを終えたばかりですが、10月以降の採用イベントに向けてすでに企画は動き始めております。
今後開催予定のミートアップも含め、情報をお伝えしていきますので、ぜひチェックしてください!
次回の更新もお楽しみに。