モデルを辞めた 1

先程、約2年半お世話になった事務所「office briller」を退所した。オリエンタル東山と検索して、池尻大橋から徒歩10分、中目黒から徒歩20分のこの道を歩くこともだいぶ減るのかと思うと込み上げるものがなかったとは言い難い。半年前にはミラノに挑戦して、今年は絶対にコレクションを歩くと意気込んでいた自分が事務所を辞めるという選択をこの6月にするとは自分自身ですら予想だにしていなかった。だからどうしてこの結論に至ったのか、何を考え何をしてこの2年半過ごしていたのか、文字として書き起こしていきたい。自分自身でも見えていなかったもの、気づいていなかったものにもきっと出会うはずだ。そうであってほしい。

この夢のようで現実を知った2年半を振り返るにあたって、綺麗事を並べるつもりは全くない。ありのままの自分を書き連ねていこうと思う。


大学一年生の冬、2022年2月初旬に事務所「office briller」に所属した。元々は、大学入学後に興味を持ち始めたファッションにおいて何か挑戦がしたいと思い、軽い気持ちで事務所に応募した。狂ったように洋服を買い漁っていた当時は下北や渋谷を練り歩くことも多く、身長と長髪からか「モデルさんですか」と聞かれることが幾度かあり、また高校生まではサッカーに打ち込み忙しい日々を過ごしていたからこそ、大学生としての日々にどこか物足りなさを感じていたことから一歩踏み出すことを決意した。とはいえ、モデル事務所なんて一つとして知っているものはなく、有名モデルの所属する事務所を3つだけ見つけて応募してみた。今振り返ると、よくbrillerを見つけることができたなと思うが、ryoyaくんが所属している事務所ということで偶然知ることができたのはやっぱり自分は持っている人であるに違いない。撮ったこともないし撮り方も知らないポラ写真を自宅のカーテンを背景に妹に撮ってもらい、勢いで、12月初旬に応募した。今見返すのがあまりに恥ずかしい写真で、本当に18歳の自分がいかに若く幼かったかを痛感する。笑

そんなこんなで応募した3つの事務所のうち簡単に返事など来るはずもなく、と思っていたが、運良く返事をもらうことができたのがbrillerだった。12/24に事務所に来て、とのことで、ぐるぐるした気持ちで池尻大橋から歩いたのを覚えている。高校時代からの癖であまりに早く着いてしまい、20分ほどマンションの前で時間を潰しながら事務所のインスタを見ているとインフルエンサーの方が社長の事務所であるということをその時に知った。この人の事務所に所属するために上京してきたような先輩モデルもいる中で、何も知らずに応募していた自分はなんと無知だったのか。

そんなこんなでマンションの一室へと時間通りに向かい、軽く挨拶を交わした後に面接をした。アルバイトの面接はしたことがあるものの、モデル事務所の面接なんてどんなものかわからないし、と思っていたが、一通りいわゆる会話をした時に夢を聞かれた。モデルとしての。今も覚えているが、mikage shinとpradaを挙げた。当時とても好きだったブランドたちで、大きく出る癖は当時からあったらしい。たしかもう一度その場でもポラを撮って、後日結果をお送りしますとのことだった。

後日、使い慣れない水色の方のメールボックスに見慣れないアドレスからメールが届いた。「体重を落とすことができたら是非一緒に働きたい」とのことだった。信じられないぐらいにやにやしつつ、ダイエットへの若干の不安もありつつ、それでも絶対やってやるという強い気持ちを持っていたと思う。社長にダイエット方法を聞いてから、当時73kgあった体重を6kg落とすことを目標にダイエットを開始した。正直、何をしていたのかはあまり覚えていないが、当時の気合いはすごいもので1ヶ月で6kg落とすことができた。ほんとに驚異的。むしろ危ない。年が明けて1月末か2月頭に事務所に経過報告も兼ねて伺った時にもその努力を褒めてもらって嬉しくなってたのが懐かしい。ダイエットはその先も続きますよ、と。
その1週間後ぐらいに事務所に行った時にコンポジ用の写真を撮ってもらい、契約書にサインをした。ちょうどその数日後に19歳の誕生日だったため、インスタへの投稿はその日にお願いした。舞い上がっていたなーと。

ちなみにダイエット期間中は家族以外の誰にもモデルのことは言わなかった、と思う。みんなに隠しておいて、誕生日と同時に祝ってもらいたいとかいう主人公メンタリティが発動していた、まさに自分らしい。

そうして19歳を迎えた2/8に自分のインスタ、事務所のインスタでそれぞれ投稿をして、モデルとしての活動が始まった。仲の良い友人たちから頑張ってねと連絡をもらい、これから始まる日々にワクワクしかしていなかった。

次編に続く。

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