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【 中国のアフターコロナ 】 電子消費券とは?

中国では、新型コロナウイルス感染症の収束後の経済回復を狙って各地方政府が特定の消費活動に使用できる「消費券」を市民に支給する動きが出ているらしい。

ちなみに、中国では日本や米国及び欧州各国で実施している所得補償の施策は一切やっておらず、いままでは住民に対する保障や施策はほとんどなかったとのこと。

中国経済の状況

中国国家統計局の発表によると、2020年1~3月期の国内総生産(GDP)は前年同期比で6.8%の減少と、四半期ベースの統計が始まった1992年以降では初のマイナス成長を記録しているらしい。

3月13日付の『経済観察報』の報道によると、第一四半期の観光業の収入は1億2000万元(約18億1680万円)減、飲食業が9600億元(約14兆5344億円)減、交通運輸が1400億元(約2兆1960億円)、映画が100億元(約1514億円)減となるという。

消費券とは

各地で配布される消費券の多くは紙の券ではなく、ネット上で配布されるとのこと。消費券の申請や使用はスマホのアプリを通じて行われ、申請者は登録プラットフォームで、名前・公民番号・電話番号を入力して受け取る。一部の地域では、身分証明証の登録の必要がないところもあるという。

配られた消費券は商業施設や観光地等でモノかサービスを購入するとき、提示すれば減額されるとのこと。ECでは利用できないと思っていたら、武漢市ではECの支払に充ててもよいことになっており、発行する地方政府ごとに違うらしい。

消費券の発行状況

武漢市では、総額23億円元(約350億円)の消費券が配られる。用途ごとに4種類に分かれていて、スーパーやコンビニで使えるものからレストランなど食事用、旅行に利用できるものもある。オフラインの買い物で使っても、ECでの支払いに充ててもよい。消費を喚起する仕組みとして、消費総額が電子マネー利用分の3倍にならなければいけないという縛りもあるらしい。商品券50元を使おうと思ったら、その買い物の総額は150元以上にならなければいけないらしい。

南京市は3億元(約48億円、1元=約16円)分のクーポン券を配布している。今回発行されたクーポンは(1)困窮市民向け、(2)労働組合員向け、(3)農村旅行(注)、(4)飲食、(5)スポーツ、(6)図書、(7)通信の計7種類である。(1)~(3)は必要に応じ配布され、クーポン総額は2億5,000万元に達する。一方、(4)~(7)はインターネット上で抽選を行い、総額5,000万元の範囲内で配布される。ちなみに、インターネット上の抽選については、戸籍や居住地を問わず、「私の南京」アプリに実名登録した者であれば申し込むことができる。参加申し込み期間は3月15日午前0時から3月22日まで、抽選は計3回行われ、当選情報はウェブ上で公開される。

江西省は総額1000万元(約1億5200万円)の観光電子消費券を4月1日から配布。初日発行の5000枚は申し込みが殺到した。江西省は額面50元(約760円)の消費券を累計20万枚発行する予定という。使用期限は今年6月末までで、申し込み資格は江西省居住者であること。全省の景勝区、観光地やリゾート地や劇場の入場料や遊覧船料金などに使用できる。

民間企業の対応例

上海市は、初めての試みとなる「五五ショッピングフェスティバル」と呼ばれる大規模なショッピングセールを5月1日~6月30日までの間に実施している。ECプラットフォームフォーマーや企業などが幅広く参加する大規模商業イベントで、アリババや拼多多、蘇寧、美団、光明食品、百聯などの大手企業だけでも、ショッピングフェスティバルへの投資や補助金、消費券、商品券の発行は100億人民元に達する見込みとのこと。


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