水圏環境 海水域 コケ
海水水槽に生えるコケはいろいろな種類がある。
その種類別の概要と対策を書くnote。
海水水槽のいろいろなコケとその対策
海水水槽で生えるコケで、主な種類は、下記の4種。
茶ゴケ(珪藻)
赤ゴケ(藍藻)
緑ゴケ(緑藻)
石灰藻
茶ゴケ
概要
水槽壁面やライブロックに生える、茶色いコケ。
ほとんどが珪藻で、ガラスと同じ「ケイ酸」の骨格を持つ。
茶ゴケ自体は、タンクメイトへの害はほとんど無い。
2-3日に1回のコケ掃除をしなければ、観賞の妨げになる程度発生する場合、
水質に問題があるので、何らかの対処が必要。
発生要因
ろ過システムに対して、餌や魚の量が多すぎるか、ケイ酸過剰が原因。
人工海水の塩を溶かす水にケイ酸が多く含まれている場合は、常時発生しやすい。
また、水槽セット直後~半年程度までの、水質が不安定な期間や、硝酸やリン濃度が高い場合に大発生することが多い。
対策
水槽をセットして時間が経つと、自然に落ち着いてくる場合が多い。
条件によっては悪化していくこともある。
ライブロック導入時に、ライブロックの掃除をしっかり行っておく。
シッタカガイ、ヤエヤマギンポなどの小型ギンポに食べてもらう。
魚だけの水槽では照明を暗めにし、点灯時間を短めに、8時間程度にする。
サンゴが入っている水槽の場合、好日性サンゴと魚のバランスを考え、魚を少なめにして、茶ゴケの原因になる、魚の排泄物から出る窒素やリンの量をサンゴが吸収しきることができる量に抑える。
コケ防止剤である、コーラルライフの「マリンタンククラリファイヤー」を使ってみる。
「シリケイトリムーバー」「フォスフェイトリムーバー」のようなケイ酸、リン酸吸着ろ材を使用する。
ただし、これらのろ材は微量元素の一部も吸着するので、規定量を守って使う。
規定量の2倍量の使用で、サンゴや海藻がいっせいに調子を崩し、 回復に1ヶ月程度かかった事例も。
赤ゴケ シアノバクテリア
概要
ラン藻の仲間で、「シアノバクテリア」とも呼ばれる。
ほかのコケとは違い、核膜を持たない、細菌(バクテリア)に近い藻類。
太古の地球で最初に光合成を行った生物だとか。
水質が不安定な、設置して間もない水槽のみならず、設置後、数年が経過したような水槽でも発生する。
餌をたくさん与える魚水槽や、サンゴの入った水槽では、ヘドロが溜まりやすい水流のよどみに発生しやすい。
有機物が蓄積されると発生しやすい。
この赤ゴケが発生すると、赤紫色の薄い膜が、底砂やライブロック表面を覆う。
条件がそろうと、成長の速さは茶ゴケ以上!という厄介者。
対策
給餌量、または魚の量を減らす。
アンチレッド(赤ゴケ抑制剤)を使用する。
○水槽壁面
シッタカガイ、ヤエヤマギンポなどの小型ギンポに食べさせる
○底砂
マガキガイ、ミズタマハゼのようなベントス食のハゼ(カニハゼ以外)
小型のナマコに食べさせる。
特に、ハゼの効果はテキメン。底砂に深い穴を掘るので、ライブロックのレイアウトが崩れないように注意する。
マガキガイを1-2匹入れておけば、1ヶ月程度でだいたい治まる。こまめにコケを吸い出す。
他の要因が改善されないと、またすぐに発生する。水流ポンプを追加して、水流のよどみ を減らす。
緑ゴケ
概要
緑藻の仲間。ウミブドウなどの観賞用海藻の多くも、この緑藻の仲間。
緑ゴケは、水槽をセットして数ヶ月~半年ほど時間が経って、水質が安定してくると出てくる場合が多い。
水槽壁面にポツポツと付く硬いもの、糸状のもの、鳥の羽状のようなものなど、いろいろなタイプがある。
成長は、茶ゴケや赤ゴケほど速くはない。
そのため、大量発生にいたることは稀だが、茶ゴケや赤ゴケよりも硬いので、拭き取りにくい。
このコケの発生は、水質がほぼ良好な状態に保たれている証。
対策
○水槽壁面
シッタカガイ、ヤエヤマギンポなどの小型ギンポに食べさせる。
コケ掃除用具で、週1回程度の清掃を行う。
コケ取り用のスクレーバー状の工具を使う。
ガラス水槽の場合は、1000番の耐水紙やすりを使うと、割と楽に緑ゴケを落とせる。
石灰藻
概要
石灰藻は、ほかのコケとは違って、どちらかといえば、歓迎されるコケ。
水槽壁面やライブロック表面に生える、赤やピンク色をもつ石灰質のコケで、別名サンゴ藻とも呼ばれる。
硝酸や、リン酸が少なくて清浄で、かつ、カルシウム、微量元素が豊富な水質でよく成長する。
このコケが安定して生える水槽は、石サンゴ飼育に適した水質になっていると言え、かつ、美しいので、そのための添加剤「カリブシー・パープルアップ」なども存在する。
対策
このコケは、観賞価値が高いので、水槽前面や側面に生えた部分だけを除去する。
かたいスクレーバー状のコケ取りや、耐水紙やすり(1500番)だと取り除ける
一般に市販されているような柔らかいコケ取り器具を使って取り除くことは困難。これらは、アクリル水槽に傷をつけるので注意。
○配管や水流ポンプ
クエン酸を溶かしたぬるま湯に分解した部品を浸けておくと、石灰藻が白く柔らかくなる。この状態になったら、ブラシで軽くこするだけで除去が可能。
硬く落ちにくくなった石灰藻だと一度の掃除では落とし切れない場合もあるが、何回か繰り返すうちに少しずつきれいになっていく。
ただし、クエン酸が飼育水に混入すると水質に影響が出るので、
掃除後は真水でしっかりすすぎ洗いをしてから水槽に戻すよう注意。
最後まで読んで頂き、感謝です(ぺこり)