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全部を賭けない、不純な純文学

何より純文学という範囲が分かっていない。
だから純文学との比較での表現ではなく、令和に生まれた新たな不純な純文学と言いたい衝動に駆られている。

稲田氏の文章はすでにnoteで読んでいたのだが、いざ出版となった時にその新鮮さ、純粋な不純さが保たれるのかという余計な心配をしていた。

ところが紙の魔力と表紙の魅力に操られ、積読をライフワークとしている(するなよ)俺も、あっという間に読み終えてしまった。

これから読む人もいると思うので下ネタバレ、もといネタバレを防ぐ意味でもこれ以上語らないが、基本に上質な文章力があり、その上でのストーリーが男女を問わず引き込んでくれる構成となっている。

さて話は変わり、昨日歌手のあいみょんが甲子園でライブを行った。
さすがに仙台から甲子園まで行くことはできなかったが、セットリストに「生きていたんだよな」があった。

これは、あいみょんのメジャーデビューシングルである。

あいみょん 生きていたんだよな 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)

この歌は若い女性の自殺をモチーフにした曲なのだが、なぜデビュー曲にこの曲を選んだのかとずっと考えていた。
もちろん本人だけではなく、スタッフの意見も取り入れた結果ではあろうが、そのセンスと度胸に感心するとともに恐れすら感じていた。

内容は異なるものの、田中泰延氏率いる出版社「ひろのぶと株式会社」の第1弾が稲田万里氏の『全部を賭けない恋がはじまれば』だ。
まだ1冊も出版していない作家に、性をモチーフにした作品で会社の船出を決定した田中氏にも正直驚きを禁じ得なかった。

ただ、この選択に迷いはなかったのかも知れない。
田中氏のベストセラー「読みたいことを、書けばいい」という言葉が揺らぐことのない経営方針となったと思う。


文章中一番印象に残った言葉がある。が、これから読む人もいると思うので下ネタバレ、もといネタバレを防ぐ意味でこれ以上語らないことにしよう。

これからも上質な「不」純文学を楽しみにしている。

【Amazonはみなさん貼ってるので紀伊國屋のURLにしてみた】






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