双胎間輸血症候群と出産①

妊娠後期に入り、特に大きなトラブルもなく32週の定期検診の日を迎えた。その日はバスと徒歩で病院に向かったがお腹が結構張っていて、バス停で待つのが苦しかった。

診察の時間になった。体調どうですか?と聞かれたので、誕生日でご飯やケーキを食べすぎちゃったからか、前回より4キロ増えちゃって苦しいです。なんて話をしてた。お医者さんと一緒にエコーを見ると、なんとなくいつもと様子が違う。嫌な予感がした。お医者さんは2人の間にある羊膜をじっくり見ていた。そして、羊膜がイチコの方にピッタリくっついちゃっていて、イチコの羊水がほとんどない状態ということを教えてくれた。そのあと、「多分TTTS(双胎間輸血症候群)になってるね。この週数での治療はできないので、出来るだけ早く出産した方がいい。ご家族とは連絡とれる?」と言った。

TTTSはMD双胎の代表的な病態で、進行すると2人とも死亡してしまうリスクがある。妊娠初期からそのリスクについて説明されていたし、自分でも調べていた。ただ、もっと早くに判明するものだと思っていたし(実際この時期になるのは稀らしい)後期まで順調だったので、すっかり安心しきっていた。

その日のうちに手術することが決まり、それからはバタバタだった。まず、入院準備ができていない。双子は早産になるから入院バックは早めに準備しましょう。なんてネットに書いてあったけど、経過が順調だからぶっちゃけまだいいと思っていた。購入物は買いっぱなし、服や歯ブラシは使っていたため、家に電話して弟に荷造りをしてもらった。離れて暮らしている旦那さんにも電話して、双胎間輸血症候群になったことと今から手術することを伝えた。会社を早退してとりあえず新幹線で向かうと言ってくれた。荷物を車で持って来てもらわなければならないため、母にも電話で連絡した。

今思えば、4日間で体重が2キロ増えたこと、鼻血が出たこと、夜に喉が渇いて3回くらい起きたこと、お腹がパンパンになっていたこと、苦しくて寝付けなかったこと、イチコの胎動が少なかったこと、前回の診察でイチコとニコの体重が逆転していたこと、いつもと違うサインがたくさんあった。胎動が少なかったのはイチコ(供血児)が羊水が少なくて動けなかったサインで、喉が異常に渇いていたことや、急激な体重増加や、お腹がパンパンになったのはケーキの食べすぎが原因ではなく、苦しいニコ(受血児)からのサインだった。

胎動があったから、生きてるから大丈夫。と自分の不安を抑え込んでしまっていた。私が我慢することでお腹の中の2人を苦しめてしまっていたことを知り、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。双子だから普通よりお腹が張るんだろうと思ってたけど、素人が勝手に判断しても何もいいことはない。さっさと病院に連絡すればよかった。双子の妊娠はいつ何が起こるかわからない。本当にその通りだと思った。


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