あのころを生きてくれた自分へ いま、もてるがぎりの慈しみを
雨の日の静寂が好きだ
雨音はすべての音を優しく包んで
平安をもたらす
バッハの無伴奏チェロ組曲を
小さな機械に奏でさせた
ひさしぶりに触れる音が
雨音のドームのなかに響く
時をこえ 心の奥深く眠る記憶にも
昔 この音を好んで聴いていたころ
つらかったこと 切望したこと
たどりつきたいと願った未来
あのころ抱えていた想いと夢が
傷の痛みとともによみがえる
けれども いまここにあるのは慈しみ
あなたが切望し続けて
願い続けて立ち上がり
歩いてきてくれたから私はいまここにいる