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詩|短篇小説

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ひさしぶりに詩を書きたくなりました。昔はよく詩で表現していたのに、しばらく散文ばかりで。これからはまた、自然にことばを紡いでいけたらと思います。散文詩的なごく短い読み切り小説も、… もっと読む
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2020年6月の記事一覧

あのころを生きてくれた自分へ いま、もてるがぎりの慈しみを

雨の日の静寂が好きだ 雨音はすべての音を優しく包んで 平安をもたらす バッハの無伴奏チェロ組曲を 小さな機械に奏でさせた ひさしぶりに触れる音が 雨音のドームのなかに響く 時をこえ 心の奥深く眠る記憶にも 昔 この音を好んで聴いていたころ つらかったこと 切望したこと たどりつきたいと願った未来 あのころ抱えていた想いと夢が 傷の痛みとともによみがえる けれども いまここにあるのは慈しみ あなたが切望し続けて 願い続けて立ち上がり 歩いてきてくれたから私はいまここにいる

明と暗と迷子

人はそれを暗いと言います なぜ いつも笑顔でいられるのですか まわりのものすべてを 信じているわけでもないくせに みんな器用につきあっていく みんな器用に使い分ける 二つの顔を できないんです私には 暗闇を見つめるのは暗いことですか 太陽だけみつめていれば明るいのですか 本当の私 誰も知らない私 私も知らない私 探しています――私は一体誰ですか ◇35年ほど前、高校生の時に書いた詩です。青春の悩みのまっただ中という感じですね。当時はまだクリスチャンではありませんでした