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詩|短篇小説

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ひさしぶりに詩を書きたくなりました。昔はよく詩で表現していたのに、しばらく散文ばかりで。これからはまた、自然にことばを紡いでいけたらと思います。散文詩的なごく短い読み切り小説も、… もっと読む
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2020年2月の記事一覧

センス・センス・センス

星の声を聞こう 風の色が見える 夜の風にはキラキラなみだの結晶が 昼の風には光る音符が踊っている 草のことば 空の嘆き あの人の心の温度 ひとごみにある思い・思い・思い 感じませんか? イメージしよう あなたが感じていることを わたしは感じていないかも わたしに見えているものが あの人は見えていないかも イメージしよう 星の声 風の色 心の温度 あなたではない人の わたしではない人の センス・センス・センス 信じてみよう いろいろな たくさんの 感受性と可能性 そうす

風のような人

今ごろ あいつ どこで 何を しているのかな きっと がんばってるだろうな そして しっかり 進んでいるね 考えながら あいつのことだもの ふらっとあらわれては ふらっと去っていく そして いつのまにか 涙をかわかしていく 心地よい 風のような人です ◇35年ほど前、高校生のときに書いた詩です。お互いに恋愛対象ではないけれど、たまに言葉を交わすと(たいていは私が落ち込んでいるときに)不思議と気持ちを楽にしてくれる異性の友人がいました。同性の級友にも、仲良しグループではない

その歳なりに美しく

私が30代だったとき 「若いですねぇ」と言われたら 「若くないです」とこたえていました あるとき 70代の男の人が言いました 「自分はまだまだ若い 50代のころと何も変わってない」 そうかなあ……20年もあったのに? 老いってなんだろうと考えます それは 心が成長を やめることかもしれません あるいは 変化をおそれること いま 私は50代 30代のときよりも 20年 時を重ねたぶん 誰かを助けられるように なれていたらうれしい もう20年 生きられたら そのぶんいまよ

きぼう

それは うなだれて立ち尽くすとき 足もとに咲く小さな花 泣き伏した夜に知る 静寂のきよらかさ カーテンのすき間から降る ひとすじの月の光 闇夜の星 水面のまたたき 雨音のリズム 風がはこんでくる 遠い森のにおい 春の陽のなかで舞うほこり 名まえを知らない葉の上のしずく 凪いだ海の音 眠っている人の息 あなたの手のぬくもり 梢を渡る疾風 小さな生きものたちの命 彼らの優しさ たくましさ 雪原につづく足あと それは インマヌエル どんなときにも そばにある 感じること