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詩|短篇小説

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ひさしぶりに詩を書きたくなりました。昔はよく詩で表現していたのに、しばらく散文ばかりで。これからはまた、自然にことばを紡いでいけたらと思います。散文詩的なごく短い読み切り小説も、… もっと読む
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2019年11月の記事一覧

ことばを風にのせて

夢でもいい 鳥になって 風の向くまま 流れたい 夕涼み―― ぼんやり窓の外を眺めて 遠くで何か考えながら やさしい風にのせて いつしかつぶやいていた とどくはずのない あなたへのことば ◇高校生の頃に書いた詩です。35年ほど前ですが、このころの感覚を今も大切にしたいと思っています。 写真は「みんなのフォトギャラリー」から、あい(ai_kotoba)さんの作品を使わせていただきました。ありがとうございます。

ひとりで泣いている人がいたら

ひとりで泣くのはつらいから けれど ひとりで泣きたい時だってあるから ひとりで泣いている人がいたら いつでもかけよれるように ちょっと離れて 気づいていたい ◇高校生の頃に書いた詩です。今から35年ほど前、こんなふうに考えていたんだなあと新鮮に感じつつ、私の人との距離感は、今もあまり変わっていないように思います。もちろん時を経て、さまざまな経験を積んだ分、自分は変化しているのですが、変わらない部分もあるのだな、と。ちょっと前ならそういう部分を見つめるのは恥ずかしかったかも。

あやつり人形のように?

心の家族はたくさんいるから さみしくなんてないと 笑ってみせる 家にいる時は どうせあたしは悪者だし つまりあたしが 友達となやみを語り合い 一緒に笑い合うことが すべて悪い事になるわけで ……悲しいね 体をこわせば おまえがばかだと責められ 遊びに出れば 外出好きのいやな女といわれて じゃあどうしたらいいのと聞けば 勝手に考えろといわれる 何もしないで あやつり人形のように 言われるとおりに 育てばいいのかしら 親の進んでほしい道 親の定めようとした道を ゆかないこ

だから恋人なんだもの

意識して きらわれないように努めていたら もっと好かれることだって あるわけないもの 飾ることだけはしたくない あなたの心が離れていっても それはそれでしかたないわ 無防備でいられるから 本心を語れるから だから恋人なんだもの ◇高校生の頃に書いた詩です。35年ほど前はこんなことを考えていた……たくましい一面もあったのだなと気づかされます。きっと、今もあるのでしょう。昔の詩は、ふだんは忘れているような、思わぬ部分を掘り起こしてくれます。 写真は今年の夏、わが家の庭で咲か

走りつづける

ひたむきに 一生懸命に 自分自身の夢を追いかけたい そして そういう人を 見つめていたい ◇高校生の頃に書いた詩です。35年ほど前。この詩と、昨日アップした「あこがれ」、そして一昨日アップした「夢」の3編が、昔の詩集(大学ノート)の同じページに書かれています。この詩だけ無題だったので、「走りつづける」とつけました。 写真は横浜にある「馬の博物館」のイベントで見た、スペインのアンダルシアンという品種の馬。アンダルシア地方原産だそうです。

あこがれ

それぞれの夢を追いかけて それでも 固くつながっている ◇高校生の頃に書いた詩です。詩集にしていた大学ノートを見ると、昨日公開した「夢」という詩と同じページに、連作として書いてあるものです。それらの言葉は35年の時を超えて、今の私に、自分の原点を思い出させてくれます。 写真は横浜の「港の見える丘公園」にあった大きな木。

夢は自分で選ぶもの そして一番最後まで 決して捨ててはいけないもの…… ◇高校生の頃に書いた詩です。35年ほど前のもの。読み返すと、「そうか。そうだね」と、昔の自分に背を支えられている気分になります。だいじょうぶ、捨ててなんかいないよと、答えられる自分でいられてよかった。そしてこれからも、そうありたいと思っています。 写真は横浜の「大佛次郎記念館」で見た、窓と光。

世界の反転

自分が落ちこんでいる時に まわりを見回すと 違った世界がみえてくる 自分のことだけで 頭がいっぱいになるような そんな人にはなりたくないし 自分が痛い時は ひとの痛みが 少しはわかるかもしれないから ◇高校生の頃に書いた詩です。今から35年ほど前、当時もしSNSがあったなら、こういうつぶやきを私もアップしていたのかな。そう考える一方で、こうして35年も経ってからそれを読み返すことができるのは、詩集として大学ノートに書き綴り、冊子の形で残していたからだよね、とも思うのです。

時々

ふと 自分は今 何をしているのだろうと 思う時がある 自分の足で ひとつひとつ 新しい世界を切り開いていく 自分は何をしたいのか 自分はどこへ行きたいのか 自分で決めて ひとりで歩いていかなければ 最初の一歩が こわいけれど ◇高校生の頃に書いた詩です。35年ほど前で、スマホやパソコンはもちろん家にファックスすらない時代でした。環境は今とはかなり異なりますが、悩みとか、考えていることは不思議とあんまり変わらないな、と、昔の詩を読んでいて思います。少なくとも、私の場合は。

裏切りについて

いつも なやみは ひとりで解決しようとします いいのか 悪いのか 人に相談するのが下手で 以前 裏切られたことがあるから けれど 今思えば 私にも悪いところがたくさんあったなと 相手ばかり責めてはいられないと ひとりでなやんで 人に話すのがこわいから 人に関わられるのがこわいから なやんでないふりをして いつになったら 素直に心を開くのか 自分だって人を 裏切っているかもしれないのに ◇高校生のころに書いた詩です。35年ほど前の悩みだけれど、今読み返して、どきっとした

ひとり

ひとりがいい 自分が いやになったら ひとりがいい やっぱり私は逃げてしまう 自分で自分を知らないから 自分を見せるのがこわいから 本当は さみしがり屋のくせに ◇今から35年ほど前、高校生のころに書いた詩です。「自分で自分を知らない」と書いているけど、全体では、私の本質を突いている詩だなあとも思います。つまり、今でも本質的な部分はあまり変わっていないのですね。変わったのは、それを愛しむことができるようになったところ。Time is fantastic.