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臨床心理学を専攻している大学院生が修論提出際になって精神科に入院する話9

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1/7 20日目 外に出て動きたい

AM3:15 水飲み場に珍しく誰もいなかった。本当は1:00台からトイレに行きたかったのに我慢した。内側から乾いていく感覚だ。消灯されたのは覚えているはず。痒い。朝方の背中の痒みはストレスになる。接触性の皮膚炎みたいだ。痒くて、気がついた時にはかさぶたになっている。アレルギー反応だとは思うが、アレルギー薬は飲んでいるのだ。
7:00起床。生活は健康的だなァ。漢方が二つになった。漢方を飲むのが辛いなァ。苦しいのだ、飲むのが。あれってサプリにできないんですかね、有識者の方教えてください。
朝メニュー:リンゴジュース、食パン2枚。
うるせーけど音程が綺麗な歌声が聞こえた。それプラス裏声はズーーーっと聞こえている。薬塗ろう、結構寝たし、傾眠。
朝から鬱々するってことは、まあ、そっか前そんなだったな、10:30鬱々している。不安なんだわ、またしても不安、不安、不安!うーん不安。はぁ、鬱々する。とか言ってても何も変わらないんよね。わかっているよ、ごめん、でも鬱々するんだよ。ウゼェ。自分を客観的に見るほど、自分を悪く言える。新発見だ。
シアノバクテリア、酸素をばら撒いやつ。
『慣れないことばかりやって、うまくいかないくて、らしくないことばかりして、目の前のあなたに「今は言えない」と言っては逃げる私。』
本当に意味はない、ただのぼやき。誰に当てたものでもない。
今日は七草粥の日ではないか。春の七草。
ご飯を食べてふて寝をして、お昼の時間になっていた。すごく寝ている、ご飯食べて寝ての繰り返し、動きたい。そろそろ外に出たいが。無理だね、
環境調整ってなんだろうか。外のストレスが全くないわけではないけど、安全だと思う。病院内では安全と。うーん。まあそうか。空も見えない、ソロの寒さも知らない冬は初めてだ。
昼メニュー:七草粥、肉団子スープ、中華炒め、卵やく、ぶどうゼリー
肉のある方のチンジャオロースのようなものを含め感触してしまった。ふて寝で私の午前中は終わった。何も変わらない。鬱々している。歌いたい、下手だけど。うまくなりたいな。音の表現力が欲しいな。
13:00台、突然Kさんが来られた。大学院の同期(もう先輩になるのが確定した。私が留年確定だから。)である。赤川次郎先生は、「突然電話が鳴った。と言っても電話はいつも突然なるものだ。」みたいなことを書いていらした。おお、私には手紙という手段しかないものだから、人が面会に来るというのもは、なかなかびっくりするものでもある。嬉しくもある。来期からどうしようとかまた色々考えたが今、できることをするしかない。まずは指導教官に手紙を書くべきか。あとTさんに対する自分の気持ちの整理もしないといけない。とはいえ人だから、少なからず思うところがある。特筆しないことにする。
指導教官にファンシーなレターセットで手紙を書いた。院内に売っていレターセットがソレだったのだ。ふざけてると思われないかな。
Kさんからは、森見登美彦先生の特集と、攻殻機動隊の漫画を借りた。新鮮な読み物があるとピチピチと跳ねてしまうように読んでいるが、普段私は本を読まない。ごはんの時間まで本を読み続けていた。新鮮な、というより、文章が内容が、いいな。
夜メニュー:風呂吹き小芋、野菜と肉の炒め、レタストマト、フライドポテト
R子さんがきた。R子さんの家のリノベ計画を聞いていたらビジネスプランがポンポンと出てきた。交通の弁さえなんとか慣れば一山当てられるんじゃないかとも思う。しかしそのお金の工面は、現実性は、など冷静に慣ればそのアクティブすぎる部分が彼女を苦しめている部分でもあるのかな、なんて思ったりした。余計なお世話だけど。

1/8 21日目 ババア汁/猫ガールを求めて

今日はお風呂の日だった、今日で三日連続朝ごはん後に二度寝をしている。指導教官への手紙を詰所に頼んだ。明日投函される。攻殻機動隊が楽しいのだが、読みながらうとうととする。先日、R子さんから卓上カレンダーをもらった。本当はもののやり取りとかいけないみたいなんだけれども。
今日もうつらうつらしつつ、本を読む。ババア汁に浸かって体はホカホカに。
ババア汁:週2回の入浴日に、体の垢を湯で落とすババアによって出来上がる。ババア汁で頭を洗う人もいる。シャワーの使い方を知らない人もいる。
昼メニュー:中華そば、ししゃものフリッター、おかゆ
昼ごはんをがっついた。理由はチラチラと下善のタイミングを見る人がいるので、ある程度時間を意識しながら食べられるようになった。
布団の中で本を読むとうつらうつらするなァ。今日も一日こんなふうにすごすのかなァ。抑うつ度はそこそこ、少し衝動性は下がった。ニコニコできるけど一時的に。ダウナーじゃないけど、エネルギーは低めかな。
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12:45 男女兼用の自販機がわのトイレに向かった。出ようとした瞬間、”まだだ”という命令が下り、ドアノブに手をかけストップ。音で分かった、モヤシだ。奴がさるまで、ここで待機ということか。例にも漏れずもやしであった。
”よし通り過ぎた””まだだ!!”強く止められた。なぜ?!の一瞬のうちに答えがわかった。もやしが引き返してきた。トイレのドアの前にいるのが見えた。”なるほど”数秒して足音がやんで、私は外に出た。第六感が育ちつつあるのか。もう少し精度が上がらないか?と私は期待していた。
これからは、ヤバレトロトイレか、不思議なトイレの方が安全だと思うことがしばしばでことあるごとに私は面倒くさがって自販機がわのトイレに行ってしまう。そしてもやしが外にいる。出会うことが多いのだ、今日は朝、風呂上がりのホラーじみた顔の時にもやしに会った。出会うのが分かりきっていたので、あえて前髪を下げて、フロアに向かったのである。ホラーだ。鏡で自分を見た時、あまりの怖さにビビった、今三度目の気配を感じ、のび太前髪を前に下ろし、私の部屋の前を通りゆくもやしを睨みつけたところだ。さてと、このペンのインクももうすぐ枯れる。Tさんに替え芯をもらったので入れ替えよう。
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眠いを繰り返し、14:30布団から出てトイレに行くも、本屋雑誌を読む元気がないのだ。聖地にでも行ってみようか。何をするのだ、寒いだけだけど。ここにいても乾くだけだ。うーん、もう一度布団に戻るか。本があるのだ、でも私の気持ちが追いつかない。読む気にならないのだ。
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何もしていないのにすごくお腹が空いている。空腹を紛らわせるように寝たし。いつもはいらないと思っていたおやつを今日に限っては欲しいと思った。お腹がぷよってきたので、減量かけたいが、無理なのか。どうすりゃいいんだ。治療が先で、体型は後から。うーんお腹すいた。ただ寝るのも体力がいるのだ。さて、体型についてなぜこんなに怖がっているのかというと、インターネットで出会った怖いお姉さんのせいだ。お前の豚体型全国に晒してやるよと言われたのがきっかけで、食えなくなった。そして、痩せた。
少し泣いた、昔のことを思い出した。過去と今フィルターが薄くなってしまっている。実にゆるゆるだ。今日は、考え事して寝て泣いて、攻殻機動隊読んでいる。寂しい。そういえば、この夏に出会ったCさんは成人式に行ったのだろうか。行ってなさそうな気がする。

今日はマイスリー、デパスかな。患者の中にずっと笑っている奴がいる。そいつを見るたびに”おもろいことあるなら、分けてくれや”とキレたくなる。そう思っちゃうよ。
別に私の部屋に何もないよ、何覗いてるんだ。ここは動物園か?!案外そうかもな。

猫ガールを求めて

私は気に入らなかったが、この峰なゆかのブログがある。森見登美彦先生の夜は短し歩けよ乙女で語られている黒髪の乙女の魅力、わからいでか?「猫ガール」は可愛くないか?男性の捏造によって作られし”ふはふはぁ”っとした猫のような女性を「猫ガール」っていうらしい。
しかし、私は、乙女ちゃんの言うような、「オモチロイ」とか「なむなむ」言っちゃう女の子を求めているのだ。「ムンっ」と胸を張ったり、ロボットのようにカチコチとステップを踏んだり、可愛いではないか。それを指摘されるとかなり厳しい。低身長黒髪は悪なのか?それは差別的すぎやしないか?それよりも私が許せないのは朝ドラヒロインである。いかにも「私が頑張っています!から回っちゃって、それでも元気ですっ!ドタバタ系ヒロイン」が国民から愛されているのがわからない。
私は高校時代にとある女の子に思いを寄せていた。仮に小雪ちゃんと呼ぶ。低身長だが、やや赤髪のロングヘアを持った可愛らしい女性だった。
彼女は実際にはさっぱりとした内面を持っていた。仕草の端っこだけをかき集めると小雪ちゃんは立派な猫ガールになるのだ。もちろん実際の小雪ちゃんが猫ガールかと言われると全く違う。
ここで役に立つのが、遠藤周作先生の「恋愛における男女の心理」で、”好意を持った相手を美化しては陶酔していくものだ”と言うフレーズ。なるほど、私は小雪ちゃんの一部を切り出しては貼り付けて”小雪にゃん”を作り出していたのか。いささか甘酸っぱいのは、私の体が弱酸性であるからでして。と言う過去があり、実は猫ガールは存在しないんだヨ!と言われても反論する私もいる。頭では存在しないかもしれない猫ガールだが、本能レベルでその存在を追いかけてしまう。ユニコーンみたいな存在だ。
つまり何が言いたいかというと、女が好きじゃない女を男は追い求めているってことであって、女が嫌いな女とは、恋のライバルになりうる女のことなのだ。

20:30今綿矢りさの「トイレの懺悔室(文藝2011)」を読んでいる。もやもやっと考え事も混じっている。やはり、私は乙女ちゃんのような猫ガールを探しているし、淡い妄想がある。
いやいや、それよりも「トイレの懺悔室」が怖すぎる。寝る前の本にしてはタチが悪かった。最期を仄めかすかつての友人、動けない、吐けない、トイレから出られない、酔いまくりの主人公、このまま今夜寝られるのか、そろそろ消灯だ。




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