見出し画像

ベラルーシの現状と今後についての私見

私はベラルーシの専門家ではありませんが……ポーランドのメディアでも連日報道されるベラルーシの状況を読み、考えたことを「はじまりは歴史から」のツイッターでツイートしたので、それをここにもアップします。私の考えは最後に追加したNewsweekの筆者とは異なりますが…。
-----------------------------
ベラルーシの大統領選の不正行為に反対した市民運動は、今後どのような展開を見せるのか?ルカシェンコはプーチンに助けを求めたようだが、プーチンはそれに応じるのだろうか。今のところ大きな動きは見られない。ベラルーシは独立国とはいえ、ロシアは自分たちの傘下にある国という意識があるに違いない。
ウクライナのクリミアの件ですでに国際的には悪印象を与えているロシアが、ベラルーシに軍事介入するようなことでもしたなら、ロシアの印象はさらに悪化し、外交的にもやりにくくなる。そのような危険を犯してまでルカシェンコを助ける決断をプーチンがするとは考えにくい。
さらに、ルカシェンコも今や頼みの綱はロシアだけになったとはいえ、完全にロシアを信用しているとも思えない。それを証拠に、ロシアがベラルーシへのガス供給を停止したときに備えて、ルカシェンコはアメリカからのガスの輸送ルートも確保しているという。
今回の市民運動はどのような結末を導くのか?このまま市民運動が勝利してルカシェンコ政権は崩壊し、ベラルーシは民主化されるのか?
今回の運動はベラルーシの歴史上最大のものとはいえ、すぐにルカシェンコ政権が崩壊するとは言い難い。現状は足踏み状態にあるようにも思える。今回の運動の発端となったルカシェンコ大統領の対抗馬チハノフスカヤ氏は現在リトアニアにいる。ビデオメッセージを送っているとはいえ、運動参加者の多くが逮捕され暴行を受けるなか、リーダーは国外の安全な場所でメッセージを送り訴えるようなやり方が、はたしてうまくいくだろうか。いったとしたら、SNS時代の新しい運動形態となるかもしれない。
一方、ルカシェンコはこれまでに何度も市民の反政府運動を経験しているので、ある意味手綱の締め方と緩めかたを心得ているのではないだろうか。実際、現時点では運動に参加する市民への軍事警察による暴力行為は緩和あるいはなくなっているようだ。さらに、長期政権により反感を持つ国民もいる一方で、圧政の下でそれなりに安定した生活に居心地の良さを感じている国民も少なからずいることも確かだろう。
反政府運動側からは運動は続いているものの、そこからさらに踏み出すための新たな方策のようなものは見えてこない。となると、このまま時間とともに求心力を失い、弱体化して行く可能性もある。ルカシェンコはその時期がくるのを注視して待っているのかもしれない。
(最初の写真はニューズウィークより)
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/08/post-94230_1.php

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?