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ロシアのウクライナ侵攻

ウクライナ情勢についてまとめた論考を書こうと準備をしているところでしたが、急速に情勢が変化していくなか、最新の情報をコメントを交えて更新していく方が良いと思ったので、そうすることにします。
すでに日本でも報道されている通り、プーチン大統領がウクライナへの「軍事作戦」の開始を発令した。そのなかで、プーチン大統領は「『軍事作戦』の目的は『住民の保護』でウクライナを占拠する気はない。だが『非軍事化』と『非ナチズム化』を望んでいる」と言ってる。また、ウクライナ兵に対して、直ちに武器を置くように求め「我々を妨害しようとする者は、これまで遭遇していないような結果をもたらす軍事的な対応に直面するだろう」と言った。
ウクライナ政府は30日間の非常事態宣言を出し、戦闘年齢の男性全員に兵役義務を課した。
キエフ時間23日(水)15時にウクライナに対するロシアからのサイバー攻撃もあった。ウクライナの外務省、国防省、内閣閣僚、内務省のウェッブサイトが攻撃された。「キエフを支配する攻撃的な政府が、暴力の道を選んだ」とプーチン大統領は述べている。また「アメリカとNATOが恥じらいもなくウクライナで戦争劇を作り上げた。ロシアへが脅威にさらされるのは現実となっている。」そして「キエフ当局はクリミアへの攻撃を計画した」とも言っている。
以上がポーランドメディアからの速報だ。
今回のプーチン大統領の行動に対し、その理由が掴めないという専門家の見解も多く目にしたが、元NATO副情報長官のヤロスワフ・ストロジク将軍は、ポーランドのFMラジオRMFのインタビューで「プーチン大統領は今回の攻撃でNATOの結束の弱さと不成功を見せようとしており、今後、NATOへのサイバー攻撃もあるだろう」と言っている。また、ロシアにとって「ウクライナはこの目的を果たすための道具に過ぎない」とも述べている。
ここからはこれまでの経過を見て、多くのポーランドの専門家の意見を読んだ上の私自身の意見だが、今回のウクライナ問題については、米・西欧諸国の対応があまりに緩慢すぎた。米・西欧諸国は西側での常識が対露外交でも通用するものと考え、話し合いや平和的解決、小出しの制裁などに徹した。ロシアにとってこのような出方は「弱気」または「ウクライナへの関心の薄さ」を表すもので、攻撃への確信を強める役割しかなさなかった。
バイデン大統領は、まだプーチン大統領が「侵攻はしない」と言っていた時から「ロシアはウクライナに戦争を仕掛けてくる」と言ったが、これは内なる恐怖心をロシアに対して露わにしたとしか思えない。ロシアが攻撃を仕掛けてくると「世界はロシアに責任をとらせる」とバイデン大統領は言っているが、このような発言はプーチン大統領にとっては痛くも痒くもない。むしろ、今後攻撃を続けても欧米諸国は何も大したことはできないだろうという保証を得たようなものだったのではないか。
ポーランドの政治評論家はすでに1月に「ロシアは蹴飛ばされたら頭を撫で、頭を撫でられたら蹴飛ばして返す国だ。それを西欧諸国は全くわかっていない」と言っていたが、その通りで、西側諸国はプーチン大統領の戦略を大きく読み誤った。旧ソ連から独立した国々、旧共産圏諸国は歴史的経験からロシアに対する見方も脅威も、構えも米・西欧諸国とは全く違う。だが、米・西欧諸国がこれらの国々の意見を真摯に受け止め、対露外交に活かすことはこれまでなかった。そして、今回のバイデン大統領の発言、ショルツ首相の対応の遅さ、マクロン大統領の及び腰を見るに、その可能性は今後も期待できないように思える。
ポーランドでは「何がなんでも軍事的な強国にならなくてはならない。軍事強化は最重要課題だ」とモラヴィエツキ首相が昨日言っていたが、今回の米・西欧諸国の対応を見ると、この発言も理解できる。歴史的にも他国から裏切られることの多かったポーランドなら尚更のことだろう。
https://dorzeczy.pl/.../rosja-ukraina-wojna-na-ukrainie...」


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