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ぐっすり眠る僕の作戦!  新見正則


患者さんからも、友人からも頻回に質問されることのひとつが「若い頃のようにぐっすり寝たい」というものです。そんな時の、僕の対応はいつも同じで「10代や20代のように眠ることを熱望すると不幸ですよ」と答えています。年齢を重ねると眠りは浅くなるのです。

何時間だって寝ていられる10代の体力!

わが家の17歳の娘には睡眠不足とか、眠りが浅いということはないようです。朝までぐっすり寝ています。中年を過ぎると膀胱の容量が減少し、男性はそこに前立腺肥大も加わり、夜中にトイレに行くようになります。当然、睡眠が妨げられます。さらに遅くまで原稿を書いたり、勉強したりして、飲みものなどをつい飲めばさらにトイレの回数が増えます。膀胱をパンパンにしたまま朝まで眠り続けるという行動には限界があるのです。

加味帰脾湯(かみきひとう)が僕のファーストチョイスだよ

眠れる薬を希望する人には、睡眠不足の次の日の状態について伺うことにしています。翌日の仕事や家事に問題がなければ、上記の会話をして納得してもらいます。

しかし、どうしても薬剤を希望する方には、漢方薬の加味帰脾湯を処方しています。漢方薬嫌いの患者さんや、加味帰脾湯で効果がない人にはオレキシン受容体拮抗薬のベルソラムやメラトニン受容体作動薬のロゼレムなどを処方します。

睡眠薬は専門家に

それでもご不満な方には頓服用でベンゾジアゼピン受容体作動薬を処方します。ベンゾジアゼピン受容体作動薬は一般的な睡眠薬で、有効時間の違いなどから、超短時間型は入眠剤的な位置付けで、効果が長いものは長く眠らせる薬剤になります。そして実は抗不安作用もあるので、ベンゾジアゼピン受容体作動薬は抗不安薬で多用さています。

ベンゾジアゼピン受容体作動薬の最大の問題点は依存性と耐性です。依存性とは「その薬剤がないと・・」とある程度元気になっても渇望してしまうことです。そしえ耐性とはだんだんと効かなくなることで、その結果同じ効果を求めるために内服量が増加します。以前は、本邦ではどの医師もベンゾジアゼピン受容体作動薬は何日でも処方可能でした。

しかし、数年前から学会の方針や保険適用上の指導からも30日が処方の上限になっています。そんな事情で、ベンゾジアゼピン受容体作動薬を毎日飲むような患者さんは心療内科や精神科から処方してもらうことを勧めています。

そんなに眠れる中高年、じつはいない

まず、睡眠に関して問題なことはメディアが「健康のためには睡眠が大切である」と謳っていることです。もちろん、ある程度は同意しますが、若い頃のような熟眠感や寝落ちする感覚をある程度年齢を重ねた方が希望することは無理があるのです。でも、熟眠感を味わいたいですよね。

疲れ切って筋肉痛になるまで運動すれば!

僕のお勧めは相当疲れるほどの運動です。僕が健康によいとして勧めている散歩などの軽い運動では熟眠感は得られません。筋肉が痛くなったり、汗をたくさんかいたりと相当の運動量をこなすとその晩はしっかり眠れますよ。僕も32年振りに広大なゴルフ練習場に行って、たくさんの球を打ちました。その日は本当によく眠れましたよ。

睡眠薬代わりに語学の勉強をしてみなよ

また、夜なかなか眠れないという患者さんへのお勧めは、語学のYouTubeを寝ながら聞くことです。語学の勉強は多くの方が挫折していると思います。そんな挫折経験がある語学や、またはまったく新しい語学の勉強をYouTubeでイヤホンで聴きながらベッドに入るのです。すると僕のように語学の勉強が基本嫌いな方は、少し聞いてはいるものの、結局そのまま寝落ちです。

語学は何で眠くなるんだろう

患者さんのなかには「一睡もできない」と訴えるひとがいます。静かで暗い部屋で横になるだけで脳は休まります。意識がなくなる必要はないのですよ、と科学的なことを説明しつつ、語学作戦を勧めます。すると、一睡もできないという妄想が間違っていたと判明します。語学の講義を寝ながら聞き続けられる人は僕の周りでは皆無です。

難しい勉強ほど眠れるか?

いろいろな方法を試してみることがいいと思います。人それぞれですので、自分で納得できて、腑に落ちる方法を探してください。人生の4分の1から3分の1は通常は睡眠の時間です。大切な時間であることは間違いないと思っています。

本日21時は漢方JPだよ

西洋医学の勉強もしよう!


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