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まず、専門家を気取ろう!  新見正則

専門家への最短ルートはTTP

インターネットで情報収集が簡単になり、情報量も飛躍的に増え、どんな領域でも専門家を気取ることは簡単になりました。専門家の意見を徹底的にパクればいいからです。徹底的にパクることを僕はTTPと呼んでいます。

ここ数年間の新型コロナウイルスの報道を見ても、誰かの意見をパクったようなお話ばかりで、専門家と称する人達はどこまで専門家なのだろうかと思うことも多々ありました。

わかっていることをリツイート(RT)すると、それだけで専門家らしく見えるのです。そんな専門家を徹底的にパクること(TPPすること)は、専門家への最短の到達ルートだと思っています。

漢方の専門家への最短ルート

漢方の世界では、漢方理論も不要、漢方診療も不要で、どんどんとフローチャート的に処方すれば患者さんもどんどんよくなり、よくならないときは適宜漢方薬を変更すればいつかは適切な漢方薬に巡り合うという作戦で十分です。

保険適用漢方エキス剤は148種類しかないのです。そのうち、ある特定に症状や病態、訴えに有効と思われる保険適用漢方エキス剤は数種類に限定されます。そんな数種類から1つを選べばこと足りるのです。

そして患者さんをしっかりと診療しながら漢方薬を処方し続けていると、自ずとこんな患者さんにはこの漢方が効きそうだと腑に落ちてくるのです。そんな経験を積み重ねると、最初の処方で当たる確率が増加します。クリニカルパールの積み重ねで上達します。

僕も師匠を徹底的にパクってみました

僕は師匠の松田邦夫先生を徹底的にパクって(TTPして)、「フローチャート漢方薬治療」(新興医学出版社)を12年前に書き下ろしました。そしてこの書籍は30回以上増刷を繰り返しています。12年間に大きな修正は一箇所もありません。松田邦夫先生をパクったので当然と言えば当然の結果です。

パクったうえに進化を加える、それが進歩

そして、漢方の初心者が漢方の専門家を簡単に気取ることができる書籍を出版しました。それが「3秒でわかる漢方ルール」(新興医学出版社)です。こちらは、松田邦夫先生の教えに、僕の勝手な修正、進化、進歩を加えて、つまりTTPSをして上梓しました。

この書籍を読み込めば、漢方を何十年も勉強しているかのように振る舞うことができます。専門家を気取れるのです。

「わからない」と言えるのは、本当に勉強したから

専門家かどうかはライブでディベートをするとすぐにわかると思います。ディベートでは、あえてわかっていないことを質問するのが相手の知識を量る最良の作戦です。そんなとき、本当の専門家は「わかっていないこと」や、「過去に書かれていない」ことを教えてくれます。

わかっていないことはすべてを勉強しないとわからないのです。過去に書かれていないと自信を持って発言するには、過去をすべて理解していないと言えないのです。つまり、わかっていないことを堂々と「わかっていない」と発言できる人が本当の専門家なのです。

「わかっていない」ことを見つけたら、進化のチャンス

単にわかっていることを羅列するのは、検索エンジンが進歩した今日では誰でもできる簡単なことです。ところがわかっていないことをわかっていないと言える検索エンジンはまだ登場していません。

ですから、まず上達の最短の方法は、専門家を気取ることです。そして、その後たくさん勉強をして、わかっていないことを知ってください。

そのわかっていないこと(クリニカルクエスチョン)に答えることが、本当の進歩なのです。


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