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アルコール問題は精神科医だけが診るもの?

 アルコール使用障害の診療がご専門の成瀬暢也先生(埼玉県立精神医療センター副病院長)編『内科医・かかりつけ医のためのアルコール使用障害治療ハンドブック』ができました。

 肝障害や膵炎は診るけれど、依存はこころの問題だから精神科医が専門でしょうと考えている内科医、かかりつけ医の先生もいらっしゃるはずです

 実は、外来男性患者の10人に1人が問題飲酒を抱えているという調査もあります。アルコール依存症、肝硬変など、アルコールによるこころと体の問題が重症化する前に、ぜひとも消化器内科医やかかりつけ医の先生にアルコール問題にかかわってほしいのです。たとえば、糖尿病、脂肪肝、不眠にはアルコール問題が隠れているかもしれません。健康診断や日々の診療で気づき、減酒指導を始めることが重症化予防の第一歩です。

 本書は、飲酒について患者さんにどう尋ねたらよいかわからない、飲酒を減らす薬はあるの? もし重症化していたら専門医にどうつなげたらいいの? など診療での疑問に必ずこたえてくれる「臨床医向けハンドブック」です。

  最大の原因は,アルコール依存症に対して深刻な誤解と偏見があり,正しい認
  識がされていないこと,そして,いまだに依存症が進行・重症化してから専門
  医療機関で入院治療を行う形が治療の「ひな型」になっているからだと考えま
  す.患者は医療機関を敬遠し,医療機関は患者を敬遠しています.がん治療に
  喩えると,末期になるまで何もしないで,「末期・重症化したがん患者だけを
  専門医療機関で治療しているようなもの」です.100万人とも推定される早期
  軽症患者を放置してはならないのです(序より抜粋).

この記事で気になるキーワードがある方、ぜひ本書を手にとってみてください。
もちろん、アルコール診療をもっと深めたい精神科医の先生にもお勧めです!

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