漢方の世界での正しい情報とは? 新見正則
僕が目指すゼロ to ワン
僕はゼロ to ワンが大好きで、世の中にない状態(ゼロ)から、世の中に役に立つこと(ワン)を広めることに非常に興味があり、やり甲斐を感じ、そしてそれが生きている活力になっています。
下肢静脈瘤、セカンドオピニオン、漢方薬
血管外科医だった頃は、ほぼ誰も興味がなかった静脈外科を世に広めることに全力を尽くした時期がありました。外科医でありながら、サイエンスを行うサイエンティフックサージャンをめざして、オックスフォード大学の博士課程に留学しました。
移植免疫学が日本では黎明期であった当時、たくさんの実験をして英文論文にしました。セカンドオピニオンを誰もやっていない当時、本邦初の大学病院でのセカンドオピニオン外来を保険診療で始めました。
気がついたら主流になっている
最近の10年間、モダン・カンポウと称して、西洋医の役に立つ漢方薬を発信しています。世界初、明らかな抗がんエビデンスを獲得した生薬フアイアの啓発にも努力しています。
誰も知らないこと、やっていないことを発信すると、最初は、正しい情報とは思われず苦労します。でも、地道にコツコツと努力をするとファンが増え、正しさが認識され、世の中に受け入れられていきます。
モダン・カンポウに賛同する医師が増えた
モダン・カンポウの世界では、漢方的診察は敢えて行う必要はない、漢方的に世界観も敢えて知る必要はないという立ち位置で啓蒙しました。
最初はみんなから異端の目でみられました。しかし、漢方の師匠である松田邦夫先生のご尽力で、モダン・カンポウは10年以上、多くの読者に支持され続け、今度はこの本と同じような書籍が多くの出版社から発売されるようになりました。
良いものは、良い。いつか受け入れられる
発表した当時、モダン・カンポウという立ち位置は、正しいか不明、ある意味、直感で怪しいと思われていました。しかし、多くの西洋医がこの立ち位置でたくさんの患者さんを保険適用漢方エキス剤で治し、その結果から「モダン・カンポウ方は正しい」と受け入れられてきたのです。
正しい情報とは何か
でも、まだまだモダン・カンポウに反対の人もいるでしょう。では漢方の世界で正しい情報とは何なのでしょうか? 昔の人が言っていることが正しいのでしょうか? 昔の書籍に載っていることが正しいのでしょうか?
生薬は自然界のもの。気候などで進化します
生薬は自然界のものです。現在流通している生薬が、江戸時代や、それよりも前の時代に使用されていた生薬と同じ、とする根拠は実は極めて希薄です。写真もDNA鑑定もないのですから、むしろ、今と昔の生薬は異なると思うことが自然です。漢方薬は生薬の足し算です。生薬の同一性が怪しいのであれば、漢方薬も同一である可能性はもっと少なくなります。
生薬の栽培地や保管方法でも変わってくる
そして、現在流通している漢方薬も、実は生薬の栽培地、採取年、保管方法などによって、同一の品種であっても、内容が異なることもあります。漢方薬や生薬の「正しい情報」とは何かが実は大問題なのです。
みんなが納得できる情報は
ともかく、現在公開されている情報、特に公的・準公的な文書等であれば正しい情報といえるでしょう。公的・准公的な文書とは、厚生労働省の通知、日本薬局方、日本薬局方外生薬規格、薬価基準、製造販売メーカーの添付文書などです。こういった情報であれば、その情報に多少異論があっても、「正しい情報」として誰もが納得するでしょう。
情報はアップデートが大切
現在正しいとされる情報が将来にわたって正しいかは、将来にわたっての検証が必要です。現在公開されている「正しい情報」をしっかりと理解して、そして新しい「正しい情報」を開拓することが、患者さんの利益となり、そして、漢方の発展にも繋がるのです。
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