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漢方薬は免疫を高めるか?  新見正則

ちょっと前までは「免疫」なんて、超怪しかった!

僕は以前「免疫力=怪しい」とコメントしていました。僕の本にも「免疫力」は医学用語ではなく「健康力」と言い換えると整合性があいますと説明しています。免疫力を測る医学的マーカーはなく、なんとなく風邪を引きにくいとか、がんになりにくいとかをイメージ(連想)させて、「○○は免疫力を上げる」などというキャッチフレーズに利用され、ともかく怪しい雰囲気が漂っていたのです。

これまでの研究の常識がひっくり返ったよ

免疫チェックポイント阻害薬が臨床で使われるようになり、世界はちょっと変わりました。免疫チェックポイント阻害薬はノーベル賞の本庶佑先生が開発し、免疫のブレーキを外す作用をもっています。免疫力を上げる(アクセル)作用はずっと研究されていましたが、どれも失敗でした。

「免疫のブレーキを外す」免疫チェックポイント阻害薬は明らかな抗がんエビデンスを獲得した医薬品として臨床に登場しました。最初はまれな皮膚がん(メラノーマ)に対して認可され、今ではさまざまながんに適用が拡大されています。免疫のブレーキを外すのですから、メラノーマだけでなく、いろいろながんにも有効なはずです。実際に臨床試験で有効という結果がどんどん出ています。

ブレーキを外せばアクセル全開!

免疫力は上げることに成功したのです。本庶佑先生をはじめとする免疫の専門家が免疫力をいう言葉を公共放送でも使用しています。僕はむかし、免疫力には非常に懐疑的でしたので、いまも敏感に反応するのです。数年前まではしっかりした学者は免疫力という言葉は使っていませんでした。それが、今では医学用語としてほぼ確立されています。時代が変わったのです。

免疫力を測定する方法はまだありません。免疫は広大なネットワークシステムなので、全体を包括的に評価する方法はまだありません。一部分を評価する方法は多数存在しますが、基本的にどれも測定が面倒です。

アクセルが全開過ぎる。 それもヤバい

免疫力を上げる免疫チェックポイント阻害薬の登場によって、副作用もたくさん生じています。敢えて免疫のブレーキを外すために、免疫系が中庸(ちょうどいい状態)を超えて活発化すると、自分の細胞も攻撃するようになります。いわゆる自己免疫疾患に似た副作用がいろいろと出現するようになったのです。免疫チェックポイント阻害薬はこれからもどんどんとがんの患者さんに使用されるでしょう。そうすると、いままでは考えられないような新たな副作用が生じることもあります。

考えられないような副作用も生まれる

医学が進歩すると、いままででは考えられなかったことが現れるのです。免疫チェックポイント阻害薬を投与されている人は、救急外来などを受診するときは、がんで加療していることに加えて、免疫チェックポイント阻害薬が投与されていることを担当医にしっかり伝えて下さい。

研究のスピードについていくのは結構たいへん

免疫力の向上が医学的に認知されるというパラダイムシフトが起こっていると思います。そのパラダイムシフトについていけない医師も少なからず存在します。僕の数年前の姿です。免疫力は怪しいと思っていた自分の姿です。免疫が亢進すると、当然に抗がん作用も得られるのですが、一方で自己免疫疾患様の病態も起こすのです。

がんにちゃんと効く漢方を広めたい

免疫力を上げる作用が保険適用の漢方薬にもあると僕は思っています。現在のところ、大規模臨床試験ではまだ確認されるところまではいっていませんが、経験的にそう思っています。そこで、僕は免疫力をさらに上げる生薬の組合せを創り上げようと思っています。明らかに抗がんエビデンスを有する漢方薬を創作すること。これが僕の夢です。

今日の新見先生のYouTubeは、早めの集合がよいらしい

エビデンスがあってもなくても効けばいいんだけど!
っていう方は、身近な薬局でもいろいろ買えますよ

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