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運気が超大切  新見正則

医療で大切なもの、3つ

医療で一番大切なことは「運」、二番目は「患者さんの努力」、
三番目が「医療サイドの質」です。

どんなに良い医療機関を選んでも
患者さんの努力が伴わなければ
医療機関が望む結果になりません。
そしてよりよい医療機関を選ぶためにも患者さんの努力は必要です。

最良と思われる医療機関に巡り合っても、
そして最良と思われる主治医に治療を頼むことができたとしても、
「運」が伴わないと望む結果になりません。

医療では、「100パーセント正解」ということは滅多にありません。
まれに「100パーセント正解」ということもありますが、
医療では常にリスクが伴うので
「100パーセント正解」を選ぶことができても
そこに「運」がないとリスクを回避できません。

運気をまじめに考えてみよう

では、白い玉をゲットすれば勝ちというゲームで考えてみましょう。

ここに2つの箱があります。
1つの箱に白い玉が10個入っています。
もう1つの箱には黒い玉が10個入っています。

この2つの箱では、白い玉が10個入っている箱を選ばなければ勝てません。
白い玉が1つも入っていない黒い玉ばかりの箱を選んでは絶対に勝てません。

運が絡んだゲームで勝つにはどうする?

白い玉を拾い上げることができれば勝ちというゲームではどうでしょうか?
白い箱には白い玉が9個、黒い玉が1個入っています。
黒い箱には黒い玉が9個、白い玉が1個入っています。

このゲームでは、論理的には白い箱を選んだ方が勝つ可能性が相当高まります。
ただし絶対ではありません。
「運が悪ければ」白い箱を選んでも10分の1の確率で負けてしまいます。
その逆に黒い箱を選んでも「運が良ければ」10個の内の1つしかない
白い玉を拾い上げることができます。

ただ、通常はこのケースなら
たくさん白い玉が入っている白い箱を選びたいと直観で思うのです。

選択には好き嫌いも入ってきます

次は、赤い箱には、白い玉が9個、黒い玉が1個入っています。
黄色い箱には、白い玉が8個、黒い玉が2個入っています。
このケースでは論理的には、
統計的には白い玉を拾い上げる確率が9割となる赤い箱が正しいのです。
黄色い箱での勝率は8割です。

ところが、僕は黄色が大好きです。
赤よりも黄色が好きなのです。
どうせなら、好きな色で勝負したい。そんな気もでてきます。

そうすると、論理的には赤い箱の方が勝率が高いとわかっていても
なぜか勝率が高い赤い箱より
運気がありそうな黄色い箱を選びたくなります。
直感でやや勝率が低くても、
運気が良さそうな黄色い箱を選ぶ可能性も高いのです。

10パーセントの差をどうみるか?

乳がんの場合、10パーセントは抗がん剤の上乗せ効果があるとみる数字です。
10パーセントの生存率向上のために、副作用が強い方法を選択します。

データを見比べると5パーセント、
場合によっては2パーセントの生存率向上のために、
医療サイドは追加の抗がん剤や放射線治療を患者さんに選ばせることもあります。

これは論理的、統計的には正しいことですが、
そこに「運気」は排除されています。

「明らかなエビデンス」には何パーセントが必要か?

僕は患者さんの運気はとても大切だと思っています。
乳がんのガイドラインでも、手術ができる場合には手術を選ぶことは大切です。
ところが、追加の抗がん剤や放射線治療は
医療者と相談して決めることになっています。
「私は運気が強い」と思える患者さんは
敢えて行う必要はないということと僕は思っています。

論理的に、統計的に1パーセントでも差があれば
「明らかなエビデンスがある」と表現されます。

みなさんが医療者から説明を受けるとき
その追加治療に何パーセントの御利益があるのか、しっかりと確認しましょう。
そこに「自分の運気」を加味して意志決定をしてください。

当たりを引き当てるために努力しよう

医療者は「当たり」がよく多く入っている箱を用意するために努力しています。
つまり全体の勝率をアップさせることが目標です。

患者さんの立場でみれば、自分が選ぶ玉が「白」か「黒」かだけですね。
何度もトライできるなら、より多く白い玉が入っている箱を選べばいいのです。
しかし、トライは1回だけです。
全体の勝率ではなく、私の番で勝ちを拾いたいのです。
ですから、「運気も超大切」なのです。


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