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中国の壮大な臨床実験!  新見正則

脅威に対する対応は2つ

1つめは、命に関わるような脅威や、得体が知れない脅威。
このような脅威には「まず逃げる」が正解です。

2つめ。命に関わらないような脅威。
命に関わらないなら「徐々に慣れる」が正解。
慣れれば共存できるようになります。

脅威とストレスは同じ

つまり、ストレスへの対応も同じ。
命に関わるような強いストレスからは「一目散に逃げる」が正解。
命に関わらないようなストレスであれば「徐々に慣れる」が正解です。
ちなみに徐々に慣れることを馴化といいます。

暑さ、寒さも同じです

暑さに対する反応を例にするとわかりやすいと思います。
熱中症警報が発令されているときは外で遊ばない方がいいでしょう。
これは命に関わるストレス。

一方で熱中症注意報であれば、熱中症という病気を理解して外で遊びましょう。
頻回に木陰で休憩をとる、
しっかり水分を摂取する、
そしてお互いに他人の状態に注意を払うなどが大事です。

そうすると、身体が暑さに慣れてそれなりに対応できるようになります。
そして暑さの程度を徐々に上げていくと
相当の暑さまで堪えられるようになります。
これを暑熱馴化と呼びます。

ブラック企業と感じる組織で働くことになった時は、
身体や心の病気になると直感で思えばサッサと辞めましょう。
でも、何か気に入れば少し続けてみるという作戦もアリです。
そうすると結構ストレス耐性がつくようになるかもしれません。

ストレス耐性はみんな同じじゃない

大切なことは馴化の程度、そして耐えられる脅威やストレスは
個人によって差があるということを認識することです。

自分が耐えられるのだから、他の人も耐えられるだろうと思い込むことは
くれぐれも止めて下さい。
その論調はパワーハラスメントに繋がります。
ひとはそれぞれ異なります。ひとそれぞれ違うのです。

ゼロコロナができる国


3年前、新型コロナウイルスは得体が知れないものでした。
そして死亡率も結構高い新種の感染症でした。
ですからそんな脅威からは逃げる方法が一番です。

ウイルスに感染した人を完全に隔離すれば、
ウイルスの脅威を封じ込めることができます。

日本でも中国でも最初は隔離作戦を展開しました。
ところが、日本では大規模なPCR検査などを行うことができずに、
早々に完全に感染者すべてを隔離する作戦は頓挫しました。

しかし、中国は国家資本主義の国で一党独裁です。
トップダウンですべてを決めることが可能です。
そんな中国ではほんの数人の感染者が出ただけで、
大都市をロックダウンすることが可能です。
そして1000万件近いPCR検査を数日で行うことも可能でした。
そんな事情でこの3年間ゼロコロナの作戦が展開できたのです。

ところが、PCR検査の陽性率は最高でも80%という報告もあります。
5人に1人は感染していても、「陰性」になるという意味です。
ですから複数回の検査が必要になります。
しかし何回検査をしても100%の精度にはなりません。
つまり、ゼロコロナにはある程度の限界があるのです。

中国の急展開

現状では、新型コロナウイルスは変異を繰り返して弱毒化し、
一方で感染力は強まっていくというストーリーが正しいと思います。

ですから、中国はいまこそゼロコロナの規制を緩和する絶好の機会
と判断したのです。
同時に習近平体制が3期目に入り
政権基盤は盤石なのでコロナ対応を急展開することが可能でした。

中国でのこれからに目が離せませんよ

しかし、できる限りのゼロコロナ規制を徹底してきたために、
新型コロナウイルスに感染した人は世界でも群を抜いて少ないのです。

これから壮大な臨床実験が始まります。
新型コロナウイルスに感染していない人々が
オミクロン株に暴露されるとどうなるかということです。

何人かは死亡するでしょう。
弱毒化しても感染者数が激増すれば、不幸な結果になる人は増えます。
しかし、一気に感染が広がるので
その死亡数が許容範囲であれば
集団免疫を一気に獲得できる可能性があります。

今回の新型コロナウイルスでは
mRNAワクチンの世界規模の人体実験が進行中です。
mRNAワクチンに対する僕の評価は、
麻疹や風疹、水痘のワクチンに較べれば冴えないものの
ある程度の感染抑止や重症化防止には有効と思っています。

医療はいつも人体実験の積み重ねで進歩しています。
中国のここ数ヵ月を超楽しみにしています。



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