自分のサムシングニューを見つける 新見正則
誰もやっていないなら僕がやります。
僕は新しいことが好きで、誰もやっていないことにいつも興味があります。新雪を軽やかに滑るスキーヤーといったイメージの時もあれば、新雪をブルドーザーで少々強引にでもかき分けて荒野に道を作るといったイメージの時もあります。人がやっていないことをローンチ(始める)するのが僕の生き甲斐につながっています。
外科医ながらサイエンティスト!
外科医なのに、30歳を過ぎて移植免疫学という広大な領域でサイエンティストをめざして、オックスフォード大学の博士課程に留学したのもそのひとつです。そんな冒険をする人はほとんどいませんでした。結局、外科医として修練を積むべき30代の5年間を費やしました。当時は自分でも無謀と思うこともありました。でも、その勉強のお陰で、思考力が身につき、帰国後は自分のラボを持つことができました。アカデミックサージャン(サイエンスもできる外科医)にはなんとかなれたと思っています。
ひとがやりたがらない分野にもサムシングニューがあった!
帰国後は血管外科医として動脈疾患をやりたかったのですが、血管外科では伝統がある第二外科の先生から釘を刺され、第一外科の僕は動脈疾患の手術を行う機会があまりありませんでした。そこで、当時はほぼ誰も興味を持っていなかった静脈疾患を始めて、下肢静脈瘤や深部静脈血栓症で日本中から患者さんが集まるようになりました。
セカンドオピニオンも当時はサムシングニュー
同時にセカンドオピニオンを始めました。日本ではセカンドオピニオンという文言がまったく流布するまえでした。大学病院で保険適用としてセカンドオピニオン外来を始めたのは僕が最初で、木曜日と土曜日に1時間近くお話をうかがい、毎週10人以上のセカンドオピニオンを行っていました。これがメディアに取り上げられ、テレビやラジオの出演機会に恵まれました。そして、今セカンドオピニオンは患者さんの当然の権利となりました。
治らない患者さんを治す。サムシングニューで治す
セカンドオピニオンで西洋医学では治らない患者さんに多数遭遇し、漢方の勉強を始めました。それまでは「自分の門下になったらわかりやすく教えてやる!」といった風土が漢方の世界にありました。僕は、漢方は保険診療で認められているので、西洋医が気軽に困っている患者さんに処方できるシステムを作り上げました。そして僕の20年が1年で追いつけるように勉強方法を工夫し提案しています。興味がある方は、『フローチャート漢方薬治療』と『明日から本当に使える漢方薬 7時間速習コース(新興医学出版社刊)をまず読んで下さい。漢方理論や漢方診療は不要で、古典の読破も不必要という立ち位置でも十分患者さんを治せるという画期的な作戦です。
漢方にもサムシングニュー、 フアイア
その漢方薬の修練中に出会った生薬がフアイアというもので、なんと2018年に肝臓がんの再発予防の大規模臨床試験に勝ち抜きました。僕は今、この生薬フアイアと従来型の漢方薬を加味して、日本でいろいろながん患者さんのお役に立たないかと思案しています。
ゼロからの出発と出会いがサムシングニューに導く
僕はゼロから1を作り出すのが好きです。でも1から10を、10から100を作り出すのが好きな人もいます。また、でき上がったものをより洗練されたものにすることに興味がある人もいます。どれを選んでもよいのですが、何かとの出会いを大切にすることがその後の新しい発見、something new につながると思っています。最初から意図して行動しても見つかりません。いろいろなものに興味を持って接していると後からそんな出会いがつながると思っています。スティーブジョブズもスタンフォード大学のスピーチでそう言っています。
本気出して打ち込む先に、まったく新しい世界が広がる
意図して行動するのではなくて、自分が好きなものを、興味があることを、対価や、採算性を考えずに、どんどんと探すことが1つのヒントになると思っています。そして人との出逢いを大切にすることです。ひとりでできることには限界があります。人に助けてもらうと、自分の限界を超えた世界に、いろいろな楽しみが待っていると思っていますし、僕はそう信じて、日々行動しています。
漢方でサムシングニューを見つけたいなら!
漢方JP、知らないと損だよ!
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