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僕の時間管理術!  新見正則

緊急手術は誰にもコントロール不可能

血管外科医として24時間365日緊急手術に備えていた、38歳から50歳の12年間は時間を管理するというよりも、予定手術や緊急手術に翻弄されて精一杯生きてきたというイメージです。その合間に、移植免疫学の研究室を運営しました。そんな二足のわらじが履けたのは、はやり血管外科の臨床分野でも、また移植免疫学の基礎分野でも、一緒に働いてくれた同僚のお陰です。彼らがいなければ、二足のわらじを12年も履き続けることは困難であったと思います。

常時、緊急手術の患者さんを受け入れるために

僕の努力と言えば、いつでも手術に行けるように、病院のそばに住むことでした。歩いて数分の場所がわが家です。当時は麻酔科の医師との連携が本当にすばらしく、なんと、救急隊から破裂製動脈瘤の依頼があると、血管外科の了解も、麻酔科の了解も不要で、手術室に直送できるシステムが出来上がっていました。他の手術をしているとか、学会出張で対応できない場合などは、あらかじめ電話を受ける人にそれぞれが伝えておくルールです。つまり、例外的に手術を受けられないこともあるが、基本的には常時緊急手術を受け入れるという体制です。本当に僕も同僚も気力と体力があったと思っています。

まさかの緊急手術からの解放! それなら好きなことをやろう

そんな生活も50歳で終わりました。心臓血管外科のグループから、なんと血管外科の緊急手術を行ってくれるという申し出があったのです。僕はこれで24時間365日のオンコールから解放されたと本当に爽快な気分でした。そこで、移植免疫学の研究、血管外科の待機手術、血管外科の臨床研究、そして好きな漢方をとことん勉強できるようになったのです。

自分の時間を自分でコントロールできる人生に!

ここからは、自分の時間管理術に日々の生活がかかってきます。今までは、血管外科の緊急手術があるかないかは、「お天道様まかせ」でした。緊急手術が必要な患者さんのために生きてきた人生から、自分で時間をセットアップできる人生に転換したのです。

松田邦夫先生の教え 「拙速を尊ぶ」を実践

漢方の師匠である松田邦夫先生の陪席も毎週金曜日の午前中に欠かさず通えるようになりました。その松田先生が時間管理術に関して僕に与えてくれた名言があります。それは「拙速を尊ぶ」というものでした。つまり、締め切り日を過ぎて120%のものを提出するよりも、即座に70%のものを提出した方が素晴らしいということです。そして、「締切を過ぎて出てくる原稿の多くはつまらないものだ。発表時間を守らない講演も、概して宜しくない」と言い添えました。

まずは「そこそこ」でOK、 時間があれば見直しますよ

「拙速を尊ぶ」という教えを頂いてから、僕は原稿には即座に対応するようになりました。書籍の出版も本当に迅速になりました。学会のスライドもそこそこでOKとして、まずはとりあえず仕上げることを優先するようになりました。そして、時間があればブラッシュアップするのです。

原稿の締切を守れば、 編集者も優先してくれますよ

書籍は著者と編集者は両輪です。昔は著者が断然偉いと勘違いをしていました。むしろ、編集サイドが偉いのです。偉いというか、編集サイドが主導権を持っている方が良い書籍ができるのです。こちらはコンテンツの提供者、そしてそれをどう料理するかは編集サイドの力量なのです。そんな意味合いも含めて、「拙速を尊ぶ」は名言と思っています。編集サイドに出すコンテンツが延び延びになれば、先方も時間を持て余します。そしていつも締切を過ぎている人のために、時間を空けておくことは馬鹿げています。「拙速を尊ぶ」ことをモットーにしている人には、先方も迅速に対応してくれます。そんな松田邦夫先生の教えのお陰で、今までに50冊近い書籍を上梓できたのだと思っています。

他人の時間も大切に

時間は誰にも限られたものです。自分の怠慢で、人の時間を無駄にすることがないように常日頃心がけています。

僕の時間も大切に

僕のちょっとした贅沢な時間は朝晩2回のお風呂です。夜は1日の反省をします。朝は今日の予定を再確認しながら入ります。それぞれ10分から20分の至福の時を湯船で過ごしています。

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