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自分の振る舞いこそが、未来を変える  新見正則


凛とした母のつよさ。

子どもの頃は貧乏でしたね。でも楽しかったですよ。それは母がしっかりしていたからだと思います。僕は相当なマザコンです。母が見守ってくれたのでここまで成長できたと思っています。父の仕事は特許料の収入や契約で生計を立てていました。ですから、収入に偏りがあり、お金が入らないときは相当苦しかったようです。母は隣近所にお米を借りに行くこともありました。そして、お米屋さんが月末の集金に来ると居留守を使うのが僕の役目でした。小学校の給食代が払えず、「今日も忘れました」と言うことも少なからずありました。母に「お金が今ないから、忘れたことにしてね!」と言われたからです。

お金よりたいせつなこと

でも、母は凜としていました。そんな凛としている母を僕は好きでした。その後、お金は好転し、受験勉強も思う存分できましたし、慶應義塾大学の学費も問題なく支払えるようになりました。それも、今から思えば運がよかった気もします。

成人してから、「あのまま貧乏が続いたら、どうするつもりだったの?」と尋ねると、「あなたは寺に預けて、坊主にしようと思った」と答えてくれました。母は僕がどもりであったことを気に掛けているようでした。貧乏なことよりも、僕の発語障害が実は心配だったと家内に打ち明けていました。

助けて、と言える仲間

そんな育ちもあって、母の影響もあって、少々のことがあっても、なんとかなると思っています。大切なのは無形の資産だと思っています。人脈です。苦しいとき、「ヘルプ!」と叫んだとき、助けてくれる人が僕の周りには少なからずいます。幸い、人を蹴落として出世しようとか、良いポジションを取ろうとか思ったことがありません。人がそれを望むなら、僕は違うことをやろうといつも思って行きました。そして「助けて」と遠慮なく言える関係の仲間が大切と思っています。

辻褄は自分で合わせるもの

なにか、嫌なこと、不運なことが起こっても、まず心の中で「ラッキー」と叫ぶようにしています。突然雨が降っても「ラッキー」、躓いて転んでも「ラッキー」、思うように事が進まなくても「ラッキー」、とまず叫ぶのです。当然ラッキーなことではないのですが、起こったことを悔いても致し方ありません。そして、その出来事を将来「ラッキー」と思えるように、今後振る舞えばいいのです。

自分が正しかったと証明できるのは自分だけ

人生の岐路で相談されることがあります。就職、転職、起業、結婚、離婚などです。そんなときには、「どれを選ぼうがそれは自由であなた次第です。そこには偶然や運や勢いが重なります。何かを決めて下さい。そしてその意志決定が将来正しいと思えるようにこれから頑張ればいいのです」と助言することに決めています。

イグノーベル賞を獲っても、決して楽な道ではなかったよ

僕の人生もたくさんの偶然の積み重ねです。食道外科を希望したのにクジに外れて、末梢血管外科に配属になりました。でも、その後の努力でオックスフォード大学医学博士への奨学生に選ばれました。オックスフォード大学医学博士では、なぜか移植免疫学という超難しいサイエンスを選んでしまって相当後悔しましたが、その意志決定が正しいと思えるように懸命に振る舞って、帰国後の大きな研究室を持つことに繋がり、そこから2013年のイグノーベル医学賞が生まれました。

将来を引き寄せるのはくじけない心

帰国後、僕が所属する第一外科で動脈外科をやりたかったのに、伝統ある第二外科の先生に止められ、致し方なく静脈外科と、余った時間でセカンドオピニオンを始めました。そしてそのセカンドオピニオンが当時は超新鮮であったので、メディアが取り上げてくれました。偶然の連鎖で今があります。

大切なのは、この先につづく未来

スティーブジョブズがスタンフォード大学の卒業の式辞の中で、Connecting Dotsを語ります。いろいろなDots(点)が将来つながるというのです。ここで「将来」が大切で、当時は不幸なこと、どうでもいいこと、無関係に思えることなどなどが将来顧みて、そんなたくさんの点がつながって、成功に至ると語ります。

目の前の不幸なことも、「ラッキー」と無理矢理叫んで、将来顧みれば、あのお陰でこうなったと語れるようになるものです。みなさん、今日を頑張りましょう。

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