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筋が良い新規事業のアイデアの考え方

新規事業のアイデアは筋が悪ければ絵空事になりますが、筋がよければ一攫千金のチャンスになります。

しかし、多くのスタートアップが事業アイデアのピボットを繰り返すように、筋が良い事業アイデアを定めることは不可能に近いです。実行しながらアイデアをアップデートしていくのが基本になりますので。

とはいえ筋が良いアイデアを初回で出せることには非常に価値があり、筋が良いとは事業ストーリーへの期待があり、ストーリーだけで人の心や投資を募れる状態と捉えます。

いわゆるシード投資を獲得できる状態にあります。

当然シード投資を決める要素にはアイデアではなく、アイデアを実行する"人"が最も重要なので、人物性や過去の経験が強く影響します。しかし、世の中に新規事業を必要とする人は五万と存在し、日々アイデアを探す人が存在します。

決してスタートアップだけが新たなアイデアを実行していくのではなく、多くの人に新規事業の機会があると思いますが、新規事業のアイデアの考え方に対する思考のアップデートが必要になります。

考え方そのものは、マッキンゼーやBCGが古くから定めている考え方であれば的外れな考え方ではないと思いますが、"考え方をどのように解釈するのか"が重要であり、これは自ら新規事業を行いアップデートするしか方法はありません。

このアップデートが筋が良いアイデアへと変化していきます。


組織形態によって考え方は変わる

そもそも組織の形態によって生まれるべきアイデアは違うと思うので、世の中でリリースされているアイデアを組織形態別で分類してみました。

1.スタートアップ型新規事業
型①:ハイリスクハイリターン型(資金調達モデル)
特徴:一般的なスタートアップが行うようなアイデアになります。一点突破でスピード勝負で実行していきます。
型②:次の収益となる2nd事業(垂直的展開or仕組み活用による水平展開)
特性:特定の業界で積み上げ式で事業を立ち上げるか、人的リソースやビジネスモデル、オペレーション構図を活用した違う業界に展開していきます。前者の代表例はエスエムエス、Ga technologies、後者の代表例はラクスル、ミスミなどです。

2.スモールビジネスにおける新規事業
型:既に存在する市場でシェア獲得(属人性or特化性活用による非成長型)
特性:ニッチ戦略を主軸として大手企業と戦わない事業
(ニッチ戦略についてはこちらの記事で説明しています。)

3.中小企業の新規事業
型:既存事業を堅実に拡大する型(特定市場で市場独占型)
特性:店舗数,エリア,拠点拡大によりコストの合理化や特定マーケットで独占を行える事業

4.大企業の社内新規事業
型:ニーズがある市場で資本勝負型(資本勝負型)
特性①:規模の経済を活用できる形態。成長市場にあるスタートアップのアイデアを模倣し札束の殴り合いを仕掛けてくる、あれです。

組織の形態によってはアイデアが優れていても実行できない、実行するべきではない場合も考えられるので、組織と事業状況によって実行するべきアイデアの見定めは必要になります。

新規事業アイデアが生まれやすい条件とは

では、どのような条件が揃った場合に新規事業のアイデアが生まれやすいのでしょうか。

新規事業と言っても広義になるので、下記のように新規事業を分類し、横軸のビジネスモデル変革以降にある事業を新規事業と呼ぶことにします。先ほどの組織別にあるスタートアップによる新規事業が近い考え方になります。

新規事業の"新規"は以下の2つの要素を既に展開している事業と比較して考えます。

1.顧客/課題(市場)
接点がある顧客の市場or接点がない顧客の市場

2.ビジネスモデル(提供サービス形態/マネタイズモデル)
提供するサービス形態が新しい

スタートアップは既存顧客がいない状態から始まるので、ビジネスモデルから新たに考える2の状態に該当しますが、2の状態における新規事業が生まれやすいの条件は、以下の要素が必要になるなあと、感じることが多いです。それぞれについて次章で解説していきます。

A:新規事業を作れる状態:しがらみがない
B1:業界構造1:インテグレーターが業界内で存在する
B2:業界構造2:無駄が多く非効率や生産性が低い
B3:業界構造3:不合理な意思決定をする必要がある
C1:トリガー1:環境規制法律変化
C2:トリガー2:技術変化

スタートアップ的な新規事業が生まれない背景

組織にしがらみがある

これが原因で新規事業が生まれない組織は少なくないはずです。新規事業の評価が資本市場からではなく、上司から評価されるので、どうしても組織内部評価を意識したコミュニケーションが起きてしまいます。

また、新規事業と言っても、アイデアが育った後の運用モデル以降とアイデアの種を見つけリリースしてから運用モデルまでの暗闇の期間の二つに大きく分類できます。

前者で成功経験がある人が上司になると、過去の成功体験に基づいて新規事業を進行しようとしますが、そもそも運用モデルでの成功体験と運用モデル以前の新規事業のフェーズでは求めらるスキルは別物であると考えます。

新規事業における運用モデル(所謂PMF)以前では、スタートアップの社長業をやらなければいけません。スタートアップの社長業は、売上がない段階で、資本市場から評価を得ることが第一歩になります。実績がない段階で資本市場からの評価を得るには、実績がない状況で企業価値(=バリュエーション)をどのようにして上げるか、そして、そのアイデアに対して、第三者が理解できないレベルの解像度が必要です。

しかし、この構造を理解していない人が上司となると、アイデアを考えるための考え方の評価ができずに、アイデアの良し悪しを判断できない状況に陥ります。

アイデアの良し悪しを判断できないという事は、自社にとって取り組むべきアイデアがどうかの判断をできていないと同義になるので、戦略や事業の方向性が定まっていない事が考えられます。

そうなると、事業戦略からの見直しが必要になるわけですが、、ここでしがらみが生じます。

これらは過去の成功体験の否定から入るので、目下の人間に言われるとそれは納得がいきません。

実際に、今取り組んでいる事業をなぜ第一にやっているのかを聞くと、目の前の顧客にとって必要だからと言われることがあります。間違ってないですしその通りですが、なぜ、それなのか。他に取り組むべき課題は何なのか。

その問いが重要であり、両利きの経営に必要な知の探索に繋がると思います。

長くなってしまったので、B1以降の解説次記事で解説していきます。

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