仲良しだった子


小学生の時、ほぼ6年間毎日一緒に登下校をしていた子がいた。

保育園の時の仲良し三人組は、それぞれ別の小学校に進み解散した。
小学校は、その保育園から進む子が1番多い学校に入れようと親がわざわざ隣の市にアパートを一部屋借りて住民票を移した。



一年生の時から、親同士の仲が良かった同じ保育園で同じ組だった子と一緒に登下校をしていた。
集団登校ではなかったため親同士が心配して締結したのではないだろうか。
私たちは何の疑いもなく本当に毎日一緒に過ごしていた。


低学年の頃は、朝母親のチャリの後ろに乗りアパートまで行き、それからその子の家にピンポンをして一緒に歩いていた。
高学年からは自分の自転車でアパートまで行き、自転車を止めてその子の家へ向かっていた(自転車登校禁止)。
冬は坂で自転車ごと滑って何度怪我をしたことか()

帰りも、クラスは一度も一緒にならなかったけど、毎日一緒に帰っていた。
低学年の時は一緒に学童に通っていたので、放課後は学童でドッジボールやら鬼ごっこやらと活発に遊び、時には学童の遠征旅行で一緒にキャンプファイヤーで踊ったり。

ちなみに学童のおやつは毎日フルーチェか生果実で、食べられなかった私は先生からあまり好かれていなく、食べないと遊びにいっちゃダメと言われて泣きながらイチジクを齧ったことをまだ根に持っている。
転向してしまう友達と一緒に帰る約束を守るため学童を無断欠席した時、親ではなく学童の先生に怒られたけど、今でもそれが悪かったとは思っていない、帰った後休みますって連絡したもん。

逆に、学童に親が迎えにくる日を間違え、一人でテクテク帰ってしまい、家に親がいないと気づき慌てて、泣きながらその子の家に押しかけたこともあったっけ。


学童を卒業してからは、その子とは家や公園、川などで放課後を過ごした。
家では、ゲーム(主にポケモン)をしたり、勉強机の下にタオルやら何やらを敷いて秘密基地ごっこをしたり、人形で遊んだり、アニメを見たり。
こっそり家の人の小銭を盗んでコンビニでお菓子を買ったりもしていたのは今白状します。

外では、公園で他の子たちと遊んだり、川でどこまで行けるか歩いたり、木の上にダンボールを持ち込みリアル秘密基地を作ったりした。


休日に家族ぐるみのお出かけに同行したり、お互いの家に泊まったり。
いつか、私の祖母と一緒に上野の国立科学博物館に行った時、私たちがクネクネした鏡でずっと遊んでいたのを祖母が写真を撮り何かの写真展に応募したところ何かの賞を受賞したということもあった。



本当に仲良さそうに見えるよね。


でも、いつからだろう。

私はこの子の前では本心を出せないなって思ってた。

子供の言うことなんてほぼ将来には泡になるのに、その子が言った「将来は絶対一緒の部屋に住もうね!」という言葉に素直に頷くことができなかった。
小学生ながらに「部屋は一人がいい...本当に実行されたらやだな」って思ってた。


なんだろう、私たちの関係はまる子とたまちゃんみたいで、その子がいつもあれやりたいこれやりたいで何かを決めていて、私がそれについて行く図だった。

その子は私みたいに心に感情を秘めたりしないから、羨ましいなとも思ってた。
正直だし、近所の野良猫を可愛がっていたし、動物にすごい優しい子だった。

一方私は、何かを主張することもなく、嫌だなって思ってることも我慢したりしてたから、言い合いの喧嘩をしたこともなかった。
多分、そういう喧嘩をたくさんできるくらいであればもっと仲良くなれてたと思う。



そして終わりはやってきた。


6年生になった時、私はクラスの中でとても気の合う友達ができた。
授業中はずーーーっと手紙の交換をしていたし、行事ごともずーーーーっと同じ班になっていた。
休み時間も、男子に混ざりドッジボールを一緒にしたりしていた。

帰り道も同じ方向だし、一緒に帰ろうと何度もなっていたが、私は一緒に帰る子がいたから、その子と帰るねといつも別々に帰っていたし、放課後もその子と遊ぶから、遊ぶことはなかった。

でも、私の態度は正直で、やっぱりクラスで仲良くなった子との方が楽しくて、一緒に帰りたくて、一緒に遊びたい、その気持ちが態度に出てしまったようで、

ある日、「うちらさ、もう一緒に登校したり帰ったりするの、やめない?あいしが決めて!」と言われた。
私は、今までずっと一緒に登下校して、放課後も遊んでいたのに、私が別の子と遊びたいからと、「うん、そうしよう」と言っていいのか分からず、無言の時間を作ってしまっていた。

それをみかねた彼女が、「もういいよ、もう別々に過ごそ!」と言って一人で帰ってしまった。
私はごめんねともありがとうとも言えなかった。


それから私はそのクラスの子と放課後を一緒に過ごしたり、一緒のテニススクールに通ったりした。

その子が住んでいたマンションの友達とやったマンションおにごっこは本当に楽しかったけどあまりにも住民の迷惑だったと反省しできなくなってしまった。
はじめてのピザポテトや人生ゲームもその子とした。
修学旅行先の八ヶ岳では、ハイキング中ずっと腕を組んでいたし、ナイトハイクの時も一緒に星を見た。



結局、6年弱を共にした子とは卒業式まで一度も一緒に帰ることも遊ぶこともなかったけど、小学生だったからなのか、特別仲が悪くなったわけでもなく、用があれば話すし、卒業式にも一緒に写真を撮ったり、保育園に行ってみたりした。

中学生になってから、学校は別々になってしまったが、誕生日にはプレゼントを送り合った。
高校生の時、使う電車と時間が同じで、再び毎朝駅で会うようになり、夏休みに一緒に出かけたりもした。
年賀状も高校生くらいまでは毎年送りあっていたけど、それはいつからかなくなり、会おうとなることもなくなった。

私が体を壊してから一度、私の実家の店に来てくれたらしく、あいしとご飯どうかなってと誘ってくれたけど、私の体があまりにも死んでいたので会えず、その数年後今度は私から誘ってみたけど、そのまま音沙汰はなく今に至る。


この子もギャルなんだよね。笑
最後に見たSNSの情報では都心の美容業界で働いてるらしかった。そのうち自分の店とかも持つのだと思う。すごいなあ。どうかお店が大繁盛しますように。


ちなみにクラスの子とも中学生になってからはほとんど会わなくなって、あの時の「この友情は永遠なんだ、」という強い気持ちも、今では「移ろうものですから、」と過去の自分を他人の子を見るかのようになだめている。



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