島本理生『星のように離れて雨のように散った』
文章として稚拙な言葉選びなのに、胸元を掴んで涙ながらに揺さぶられるような文章に出会うことがある。
逆に、語彙も絢爛で助詞の使い方までビシッと決まっているのに、なぜか午後の数学の授業の時みたいに眠くなる文章もある。
いままで、その理由が分からなかったが、端的に言い当てている小説の1シーンがあった。
「表現としては稚拙だったり、視点が偏っているところもあるけれど、これはあなたの物語だと思います。…(中略)…なにより、切実さが感じられる。書きたいものがあっても、書かなくてはな