見出し画像

寿司もスパナで握ってる?

2016年、4~5月、私は朝からタイピスト、夜は、寿司職人、家に帰ってからは漫画の原稿入稿作業と、シミルボンの原稿書き、自営している染め物とアニメーション教室の運営、被災した熊本に救援物資を運ぶ手配、初海外個展に向けて台湾のMangasickとやりとりを行う日々だった。

そんな中、必須でやらなければならないことを真っ白な白紙で提出してたり、一方逆に、やらなくていい例えば入稿データを600枚も作っていたりしてどうしてそんなことをしていたのかたまに記憶喪失になりながら、しかし物事はゆっくりゆっくり牛歩の歩みだった。

タイピスト中、数字を数える時に行う、”赤丸チェック”のリズム動作そのものが気に入って身体に染みついてしまい、これが確認をする作業だということを忘れ、私の身体はリズムだけで赤丸を書き続け、

間違いまくって上司に叱られ続け、営業さんたちが私のせいで朝から右往左往駆けずり廻っていたこの2ヶ月・・・。
私がいかに享楽的性質かがわかる・・・。

そういえば、こんな人、どこかで遭遇したことあるな。

と、フっと山高帽とステッキを持ったちょび髭の人物が脳裏をよぎった。。。

そうだ!これモダンタイムスのチャップリンだ!!!

1930年代、近代の工業化の渦の中、ちゃんと仕事の中で能力を発揮出来ず、ベルトコンベアーから流れてくるボルトのある製品をスパナで、クリッ クリッ とリズミカルに巻き上げる動作だけが身についてしまい発狂するチャップリンに酷似している”赤丸チェックリズマーの今の自分”・・・。

あの風刺映画は笑ったけど、彼に自分を投影してしまい、今じゃまったく笑えないのだった・・・。

昔読んだチャップリンの自伝を思い出した。

最貧困層に産まれ、俳優の両親を持ち、俳優の両親を持ち、劇場のどさ回りをしながらひょんなことから、舞台に立つことになり、25歳の時、「KID」で大きな成功を収めるまでが語られたチャップリンの自伝 上巻。

こうやって生き抜いてきた彼だからこそ作れた モダンタイムス なんだな。

映画の始まりのシーンは、なんと羊の群れ!

忙しなく移動する羊たちがいつの間にか、人間たちの雑踏にすり替わっている。

大きな歯車のかみ合う機械の要塞的存在である工場。

そこにいる男達が屈強な肉体をみな持っていたのがまた印象的だった。

脳みそがマッチョなら、身体的なマッチョはそんなに必要じゃないとタイピストをやって気がついたのだけど、

ここではみんながみんなマッチョ!

工業VS人間!

当時は、無機的に強く広がる工業、機械に対して、人間は屈強な肉体で諸刃の刃で対立していたのだろうか。

現代は、とうとう寿司もスパナで握ってる?
回転寿司は大昔から、とっくに ベルコンベアー状態だが!!!

投稿日 2016.06.15 

※この記事は、実体験を元にして2016.06.15にシミルボンという
書評サイトで書いたものです。一部、加筆、再編集して転載しました。
元記事は下記です。こちらは今年10月1日でサービス終了になります。
https://shimirubon.jp/reviews/1672581


面白いことを思いついたら全部、やっていこうと思っています。あなた様のお役に立てれば幸いです。どうぞよろしくお願いします。真珠子より