YOASOBI「ハルカ」のこと。

こんにちは。桜小路いをりです。

先日、YOASOBIさんの「THE BOOK」収録曲「アンコール」について書きました。

今回は第2弾として、「ハルカ」について、私が考えたことや考察を綴っていきます。

最後まで読んでいただけると嬉しいです。

「ハルカ」の原作小説は、鈴木おさむさんの「月王子」です。

主人公は、「月の王子さま」が描かれたマグカップ。
持ち主の女の子・遥の成長を傍で見守っています。

マグカップは、遥のために特別な何かができるわけではなく、魔法のような力を持っているわけではありません。
マグカップとして、遥のすぐ傍で、一緒に泣いたり笑ったり怒ったりするだけ。

でも、その温かさが心に沁みる、素敵な物語となっています。

さて、「月の王子さま」と聞いて、連想される物語があります。

世界的な名作『星の王子さま』です。
そこに出てくる次の言葉は、知っている方も多いのではないでしょうか。

心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ。

「星の王子さま」はこのように言いますが、本当に、それだけでしょうか?
もちろん、「心で見るから『みえる』もの」もあります。

ですが、遥のすぐ隣には、心で見なくても、目に見える場所に、いつもマグカップの「月の王子さま」がいました。
遥の耳には届かなかったかもしれないけれど、「頑張れ」と応援してくれて、嬉しい時も悲しい時も寄り添ってくれる。
そんな、「物」と「人」という垣根を越えた絆が、ふたりの間にはあるように思えます。

楽しいことばかりじゃない日常に
あふれだした君の涙
それでも
前を向いて歩いて
そうやって大人になってく
君のそばにいられること
君のよろこびは
僕のよろこびで
君の大切な幸せが
いつまでも君とありますように

誰にも見られないように、ひとりでこっそり泣くことも、小さな嬉しいことに、周りから見たら滑稽なくらい喜んだことも。
もし、自分以外の「何か」が見守っていてくれて、それを記憶してくれているとしたら。
それって、すごく自分の支えになると思います。

ましてや、そんな存在が「君の大切な幸せがいつまでも君とありますように」と願ってくれているのなら。
空想の世界の虚構だとしても、心の奥がほんのり温かくなるような気がしてきます。

いつまでも
幸せで
いつまでも
愛してるよ

Ayaseさんのこの部分のメロディーと、ikuraさんのこの歌詞の歌い方が、私はすごく好きです。

「愛してるよ」って、どうしても重くなりがちな言葉だと思うのですが、あえて軽やかなメロディーに乗せて、柔らかな声で、でもしっかりと歌われているのが印象的でした。

友達や家族、恋人などなど、色々な関係の方に当てはめて聴くことができる歌です。

初めて「ハルカ」を聴いた時、ひとつ疑問に思ったことがありました。
それは、マグカップ目線で繋がっていく物語なのに、なぜ曲の題名が「ハルカ」なのか、ということです。

ですが、その答えは、「THE BOOK」の特典の歌詞カードを見て初めて分かりました。

「ハルカ」という題名の下に歌詞が続いていることで、その歌詞カードが、「月の王子さま」から「遥」への手紙のように見えるのです。

もしそうだとしたら、題名がカタカナで「ハルカ」と書かれている理由も分かります。
月の王子さまは、マグカップですから文字が読めず、耳で聞いた音で、持ち主の名前を覚えたのでしょう。
もし、月の王子さまが遥に手紙を書いたとしたら、彼女の名前がどんな漢字を書くのか分からないのではないでしょうか。
だからこそ、題名(=手紙の宛名)は、「遥」でも「はるか」でもなく、「ハルカ」なのだと思います。

みなさんは、「ハルカ」についてどんな考察を立てますか?

この記事が、みなさんの新たな発見に繋がれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 私の記事が、皆さんの心にほんのひと欠片でも残っていたら、とても嬉しいです。 皆さんのもとにも、素敵なことがたくさん舞い込んで来ますように。