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桜色の本棚

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私が出会った素敵な本のこと、読書のことを綴った記事をまとめました。読者の方と本との橋渡しができたら嬉しいです。
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2023年4月の記事一覧

音楽は、いつだって美しい。〜安壇美緒さん『ラブカは静かに弓を持つ』〜

こんにちは。桜小路いをりです。 安壇美緒さんの本屋大賞ノミネート作、『ラブカは静かに弓を持つ』を読み終えました。 チェロを、その音色を、音楽を通して織り成される、圧巻の小説でした。 装丁に惹かれて手に取ったのですが、読めてよかったです。 物語の主人公は、音楽にまつわる著作権を管理する組織、通称「全著連」で働く橘という名前の青年。 彼は、幼少期からチェロを習っていましたが、ある事件をきっかけにチェロを辞め、傷を抱えながら淡々とした日常を過ごしていました。 彼の日常が変

画集を買う。心が踊る、日曜日。

こんにちは。桜小路いをりです。 今日、画集を買ってきました。 イラストレーターの優子鈴さんの初画集です。 光の表現と、モチーフのひとつひとつの細やかな描きこみの数々、乙女心をくすぐる世界観、魅力的な女の子たち。 ローソンのブロマイドや、アクリルキーホルダーなどのグッズもお迎えさせていただいたほど、大好きなイラストレーターさんです。 私が優子鈴さんを知ったきっかけは、相沢泉見さんの『大正着物鬼譚 花街の困り事、承ります』という小説でした。  優子鈴さんが担当された表

ひとつの言葉、いくつもの思い出。〜川上弘美さん『わたしの好きな季語』〜

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、川上弘美さんのエッセイ集『わたしの好きな季語』を読み終えました。 96個の季語に纏わる思い出を綴ったエッセイが、96編。 各エッセイで、その季語を使った有名な俳句も紹介されています。 趣き深い季語、川上さんの素敵なエッセイ、そして名句がぎゅっと詰め込まれた、宝箱のような1冊です。 しなやかで繊細で、ちょっとお茶目な川上さんの文章は、読み進めるたびに心地よくて、つい一気読みしてしまいました。 優しい手触りのコットンのお洋服みたいな。