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桜色の本棚

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私が出会った素敵な本のこと、読書のことを綴った記事をまとめました。読者の方と本との橋渡しができたら嬉しいです。
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2023年2月の記事一覧

私をつくった絵本・児童書たち。

こんにちは。桜小路いをりです。 以前投稿した記事で、「私に訊きたいこと、何かありますか……?」と書かせていただいたところ、橙木輝さんから「読書遍歴」についてのご質問をいただきました。 橙木輝さん、ご質問ありがとうございます! そして、いつも素敵なnoteを楽しみに読ませていただいています。 長くなりそうなので、今回は児童書・絵本編。最後までお付き合いいただけると嬉しいです。 絵本いもとようこ作品 いもとようこさんの温もり溢れる絵が、昔も今も大好きです。 幼い頃は、有

この世界の重さを~逢坂冬馬さん『同志少女よ、敵を撃て』~

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』を読み終えました。 2022年を代表する1冊。遅ればせながら、ようやく読了です。 本を閉じたときの私の最初の感想は、「……すごい小説だったな」でした。本当に、その一言に尽きます。 戦争の悲惨さ、残酷さを強く感じました、なんてありきたりな言葉では言い表せないくらい。 衝撃に次ぐ衝撃で、読んでいる最中、何度後悔したか。でも、目が離せない、離しちゃいけない、と読者を強く引き戻すような力まで、本書は持

物語の魔力に想う〜住野よるさん『腹を割ったら血が出るだけさ』〜

こんにちは。桜小路いをりです。 先日、住野よるさんの『腹を割ったら血が出るだけさ』を読み終えました。 残酷で、痛くて、切実で。 でも、行間がすごく優しくて。 私は、こんなふうに真っ直ぐに小説そのものを捉えたことがあっただろうか。 私は、この物語の誰に似ているだろうか。 そんなふうに、読んでいる最中はもちろんのこと、読んだ後も、ずっと逡巡し続けています。 この本の登場人物たちは、それぞれが「どんなものよりも大切にしていること」を持っています。 そして、それは、人間