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cocobat最新作『Devil's Rondo』&レコ発ライブ・レビュー ~take-shitインタビュー③~

Devil's Rondo

2021年に発売された7インチシングルの2曲に加え、新たに録音した3曲を加えて2022年に発売された最新作。タイトル曲「Devil’s Rondo」は、1980年代に活躍した埼玉のサタニック・ヘビーメタルバンド「サブラベルズ」の代表曲のカバーで、以前にもライブで披露したことはあったけれど、このたび奇跡的に許諾が取れてリリースに至ったとのこと。

「悪魔と踊る」という堕落的・快楽的なモチーフを全面に打ち出ししながら、本作は徹底的に禁欲的・ストイックな演奏で固められている。1曲目のタイトル「Discipline」といえばキング・クリムゾンを思い出すけれど、そこから予想される通り、これはもう四捨五入したらプログレなのでは。

特に15分を超えるインストとなる5曲目「Dolphine Ear Bone (instrumental)」は素晴らしく、聴くだけで3000キロカロリーくらい消費したかと思うほどグイグイ持っていかれる。まるでデビルマン終盤におけるデビルマン軍団とデーモン軍団の最終決戦。UFCで例えるならジャスティン・ゲイジー vs マイケル・チャンドラー戦のような、凄すぎて意味が分からないバチバチのフルラウンド年間最高試合。

本作はジャケットも際立っている。使われているのはいつものパスヘッドの絵ではなく、HxSが制作した、デビルマンの赤子のような怖かわいいソフビ人形「悪魔の落し子」と、それをアーティストのHAROSHIがカスタムした彫像。両者ともtake-shitと縁が深く、特にHxSに関しては、雑誌BUBKAの連載「たけ視点」1998年8月号でそのソフトビニール工場を写真付きでレポートしていたくらい、その信頼関係は長期にわたる。その関係値が、この悪魔的なコラボを実現させたというわけだ。

バンドの中ではおそらく実験作的な位置づけの本作、ライブでは一体どうなるんだろうとレコ発ライブに行ってみたら。。。

レコ発2023/Jan.9レポ

圧巻。新作CD収録の「Devil’s Ronde」からノンストップで6曲披露したのち、中盤20分過ぎから、いよいよ「Dolphin Ear Bone」「Tetrad」と20分以上続く期待のプログレ・インストタイムに。これが素晴らしかった。まさにディシプリンの塊。

メンバーの手が痙攣するのでは?と思うほど緩急が目まぐるしく変化する複雑なドライブ感で、これぞライブの醍醐味という驚きの楽しさだったのに、YouTubeで改めて見てみたら、スタジオ録音に聴こえるほど演奏の完成度が高くて二度驚いた。百聞は一見に如かず。ぜひYouTubeで体験してほしい。

最後は代表曲「Grasshopper」で合唱、大団円で終了……とおもったら、サプライズでバンド結成時のボーカルRyujiが登場し、アンセム「Cocobat Crunch」を披露してくれるという、バンド結成32年目のサプライズ。今年の初ライブがCOCOBATでよかった。

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【インタビュー後記】

take-shitがプロレスきっかけでメタルやパンクと出会ったように、たとえば『Devil’s Ronde』のジャケットをきっかけにして、ソフビ好きの人が新しい音楽に出会ったりしたら素敵だと思う。

もともと僕にtake-shitを紹介してくれたのは、友人であるアートディレクターの土井宏明さんだった。彼はcocobatのアルバム 「posi-traction」(1994) のCD中ジャケやチラシ/ ポスターに関する装丁仕事を行っていたという繋がりがあり、数年前に科学技術館で開催されたスーパーフェスティバル会場で、土井さんを介してtake-shitと会話をさせていただいたのが最初だった。

また、僕と土井さんと共に オリジナルソフビ「アイドロン」 を作ってくれている造形師の長谷部信也さんは、 take-shitが描きおこしたラフスケッチデザイン を元にfinkShit(1998)頭部原型制作を行っていたという過去があるなど、意外と共通の繋がりがあり、話がさまざまな方向にジャンプして、 本当に楽しく深い話をたくさん聞かせていただいた。

take-shitさん、お忙しい中インタビューおよびフォローアップのメール交換にお付き合いいただき、ありがとうございました!

真実一郎

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