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「またマンガばっかり読んで!」と言われた時のいいわけ(年間1000冊マンガを読む男):プロローグ

実はここ数年、年間1000冊を超えるマンガを読んでいる。この記事に使用している画像も僕がデジタルで購入した漫画の一部である。そういう話をすると、マンガにいくらつぎ込んでしまっているのか、、、もっと有意義な使い方があるのではないか、、、というため息が起きるが、そんな話はナンセンスである。断言しよう。マンガは非常に有意義なお金の使い方であり、対価として充分な見返りをくれる。なぜならマンガはネットニュースなどの瞬間消費型の「生活情報」ではなく長期育成型の「人生経験」になるからだ。ちなみに僕は、いわゆるハウトゥー系の本をほとんど読まない。スタンフォード大学のベストセラーになっている研究よりも『ジョジョの奇妙な冒険 第8部』で登場するTG大を研究する方が、人生を豊かにすると信じている。

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現実という名の、無敵のボスキャラ。

学校の帰り道。当時ドラゴンボールにどっぷりはまっていた僕は、週に一回は「今日はかめはめ波が出そう」という気がする小学生だったが、一度も出た試しがない。せめてクリリンの気円斬、、、いや、贅沢は言わないのでヤムチャの繰気弾ぐらいはと理想のランクを落としていったにもかかわらず、何の技をも身につけられずに思春期は終わった。と言っても、僕が戦闘能力が低かったわけではない。「現実」という無敵のボスキャラに世界は支配されていただけだ。その最強のボスキャラの能力は「無理なものは無理」である。

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大人でも現実には勝てない。

とはいえ、学生のみなさんの夢や希望を壊したくないので、誤解のないように伝えたいことがある。大人は楽しい。最高だ。仕事だってやればやるほど面白さを知れるし、食事だって知れば知るほど深みにハマる。勉強だってすればするほど見える世界は広がるし、苦楽を共にした友人との会話は最高の娯楽だ。だが、ソフトクリームのバランスを崩して大半を落としてしまった時に『東京リベンジャーズ』のタケミチのように過去にタイムトラベルはできない。決して現実が面白くない訳ではないのだが、子どもの頃に漫画を読んで感じていた、生クリームと砂糖のように甘くシビれていた、本当の意味での自由で無限の可能性は、虚しく現実世界の冷たいアスファルトに吸い込まれていく。

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小説はどうか。

漫画よりも小説。そんな声もよく聞こえるが、僕はそれでも漫画を推させていただく。小説は読者の想像力を前提とした媒体すぎて「読者の想像力を超える想像」が脳内再生できないことが課題といえる。本当にすごかった。と言っている方全員の脳内映像を再生できるのであれば、恐らくクリストファー・ノーランの映画と、地方新人アイドルの食レボ映像ぐらいの差がありそうな気がする。だが、その証明はできない。「あの小説面白かったね」と言っている方全員が本当に同じ感動を共有しているのかは誰にもわからないのだ。個人の趣味思考が強烈に影響を与え、脳内アウトプットが不安定なために多くの人と共有体験がしにくい媒体、それが小説なのではないだろうか。

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映画はどうか。

ノーラン監督の話が出たので映画についてだが、僕は映画も好きだ。大好きである。だが、映画はクレジットの人数を見てもわかるように、ものすごい数の人たちがそれぞれの思考で作ったものなので「制作意識レベルが奇跡的に全員ハイレベルで一つにまとまった場合に限り」ものすごいものが出来上がる。だが、その確率は経験上かなり低いと言わざるを得ない。監督のリーダーシップ x 役者の演技力 x 編集 x 音楽 x 撮影技術、、、などの極みの掛け算の上に、観客の好みと一致して、はじめて現実を忘れる没入感を得られるのだ。高いレベルの作品だったとしても「あのシーンがちょっと、、、」「あのセリフが無ければ、、、」など、良い作品であればあるほど、惜しいシーンが気になってしまう。完璧な当たりに出会える確率が天文学的に低い。僕の経験上、おそらくDyDoの自販機で当たりを出すぐらいの確率と一緒だろう。

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最強の才能、漫画家。

漫画はたった一人の天才がいれば成立する。もちろん、編集やアシスタントの方含めた多くの人の協力もあるが、基本的には個人の才能を支えるというスタンスで成り立っている。しかも、確率で読者の想像力をはるかに凌駕する凄い当たり作品に出会えることが多い。これも経験上だが、ガリガリくんの当たり確率よりもはるかに高いと思われる。

漫画最強理論:
・無理なものは無理という、現実を超えられる。
・小説は脳内再生に差がありすぎて共有がしにくい。
・映画は当たりに出会える確率が低すぎる。
 ↓
マンガは現実という世界現実を凌駕した体験に出会える上に、同じ作品を読んだ多くの人と共有の感動を得られやすい。かつ、高確率で名作に出会える可能性が高い。

というわけで、シリーズ『「またマンガばっかり読んで!」と言われた時のいいわけ』というタイトルで、家でダラダラ過ごす参考にでもなればと、僕が「当たり」だったと思う漫画の紹介とその理由を、今後不定期に連載してみようと思います。ベランダの陽射しも日に日に初夏を感じる暑さを増しておりますが、ガリガリくん片手に不定期にお楽しみください。


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