パーキンソンの法則
私たちの面談をしていると、年収1000万円オーバーの会社員に出くわすことがあります。地方では少ないにしても、首都圏部分では頻繁に出くわすと言っても過言ではないでしょう。そして、こうした高所得会社員の方から時々ある相談内容としては、「貯蓄ができない(だから投資したい)」というものがある。
高所得会社員で貯蓄できないという現象は、今後も多く出てくるかもしれません。これは自身(お客様)のマインドとしては、少なからず「自分は稼いでいる!」という自負があるものですから散財しやすいというのもあるかもしれませんが、そもそもが、
・児童手当の特例給付の廃止(年収1200万円以上)
・給与所得控除の縮小
・厚生年金保険料、介護保険料アップ
という環境にあるわけですから、しっかり家計管理をしていかないと、ますます貯蓄できなくなってしまうわけです。
そこで、こうした「高所得会社員&貯蓄できない世帯」に出くわしたときに、お話できる話材をご紹介をします。
皆さん、「パーキンソンの法則」はご存じでしょうか。パーキンソンの法則は、1958年にイギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した法則だそうです(調べました…)。主にはビジネスのシーンで使わることが多いのですが、その法則は実は2つあり、それが、
法則1・・・仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
法則2・・・支出の額は、収入の額に達するまで膨張する
というものです。実はパーキンソンの法則は「法則1」のほうで使われていることが多く、例えば、部下とか新卒などに仕事を依頼するときに「これこれをやっておいてほしいのだけど。来週の火曜日くらいまでに――」と言うと、本来1時間の作業ボリュームであるはずなのに、3日間もかけて完成まで費やしてしまうというものです。よくありありのありですね。
つまり、許容された時間のある限り膨張する、これがパーキンソンの法則で提唱されていること。暇つぶしは一番忙しい仕事なのです。。
そして、法則2、これが皆さんの現場で使える「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」。だから、「お金を稼げば、家計が楽になる」と思っているご主人、そんなことないのです・・・。
少しだけ「くぎを刺す」ことも大事
高所得会社員&貯蓄できない世帯のご主人(奥様)から相談があったと想定して、こんな話をしてみるといかがでしょう。
「ご主人、『パーキンソンの法則』ってご存じですか?これは大きくは2つの法則があるんですけど、1つは、ご主人も経験があると思うんですよね。会社とかで、部下とか後輩に『この仕事、やっといて! 来週の木曜くらいまででいいから』とか。そんな感じで依頼することあるでしょう」
(そもそも高所得会社員ですから、たいてい部下がいる。なので、「あるある」という返答がくる)。
「で、ご主人は自分が仕事依頼しているのに、『この仕事30分で終わるだろ、何時間かけているの…』とか言わなくても思っていたりする(笑)」
これもお客様の反応はあるある。
「実はこれが『パーキンソンの法則』といわれるもので、仕事って完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張するってやつなんです。なので、仕事の適正時間というよりは、与えられた時間があればあるほど、ダラダラやってしまう」
お客様は「フムフム」
「もう1つ、法則があって、これが『支出の額は収入の額に達するまで膨張する』というものなんです・・・。つまり、収入と支出の関係も同じなんです。稼いだ分、使っちゃう。ご主人、部下に言っている・思っていることと同じことを、自分でやっているんです」
「・・・・」
「なので、しっかり家計把握して、管理することが大事ですし、ご主人のようにご多忙であれば収入からまず貯蓄分を保険とかで引いて、で残った分は安心して、全部使ってください」とかとか。
こんな感じで。同じことを伝えるのでも、「ちょっとだけ相手に『くぎを刺す』」トークができればいいと思うのよね。