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今後、飲食業はどう変わるか

2〜3月 は、飲食業界にとっては売上が下がり、いろいろなことを模索した分、負荷が大きかったと言ってもいいかもしれません。多くの人が「これではいけない」と、主体的に動くきっかけになったのではないでしょうか。考えたり動いたりで慌ただしかった2〜3月。

そんななか、なんだか知らない間に暖かくなってしまった気がしませんか?

いつまで続くかわからない自粛モードにも気が滅入っきたので、未来のことについて一緒に考えませんか?との思いでnoteを書きました。以下、私見ですので、ご意見いただければ幸いです。

最近、思っていることを書いていきます。

二極化が進む

まずは、日本でここ10年位で起きていることから考えています。

まず、飲食業界で働く人が圧倒的に少なくなっていることは、皆さんすでにお気づきだと思います。

以前の記事です。

働き手が足りないのは、そもそもの人口が少なくなっているからですが、IT業界など、飲食業界よりも働く側にとって魅力的な働き方が多くなったからといっても過言ではありません。働く人を取り合うような流れは、今後も人口が減り続ける日本では変わらないと思います。

別の視点で見てみましょう。M&A(企業の合併と買収)案件も2018年の冬をピークに動いていました。こちらは国内のM&Aの大手企業、日本M&Aセンターの株価を参考にしてみます。

現在(2020年3月10日)は世界同時株安のような状況になっているため、現在の株価の推移は参考になりませんが、5年の期間でみてみると、2018年をピークに一度落ち着いたものの2020年初頭には株価がまた上がっています。イコールM&Aを締結させて収益をあげているということです。

このM&Aでは、大企業だけでなく、中小・零細企業同士のM&Aも行われています。飲食業でも価値を提供できているところは買収されるケースがあります。普通の飲食店でもキラリと光るものがあれば買収対象になると思います。

2極化の1極は、買収できるような飲食店の買い手企業が増えていきます。駅チカのチェーン店だけでなく、飲食業でこだわりをもちながら買収をすすめているグループ会社も多くあります。買収し、経営を健全化することでより力をつけ、利益を生み、更に拡大していきます。働き方の待遇や教育などは大きな企業がやはり強みを持っていて、雇用においても力の差がより広がっていくため、買い手企業で働く人が増えていくと思います。

話は変わって、今後、飲食業をやるには「スナック」がベストだ(私がざっくり訳しました)、と飲食店プロデューサーの子安大輔さんや、その後にも堀江貴文さんが言っています。飲食をビジネス重視してやることは必要ですが、一方でクリエイティブでいたい人、調理をしたい人にとってはスナックでは物足りないですよね。

卓越した技術やサービスのある、星付きのレストランなどは、使われるシーンも違うため、きっと変わらずあるはずです。

2極化のもう1極は、スナックのようなこじんまりとした業態で、人を雇わず夫婦2人でやるか、スタッフ1人ぐらいの小さな飲食店が強くなっていくのではないでしょうか。

席数で言ったら10〜20席ぐらい。逆に40席みたいな店が人口減や差別化といった意味で今後、大変になってくるような気がしています。

そんなお店が、ここ4〜5年で増えた気がしませんか?

奥渋谷では、アヒルストアや酒坊主、TOMIGAYA CALME、sajiyaさんなど素敵なお店がたくさんあります。

せっかくなので、最近行ったお店で素敵なお店を紹介しておきます。

①LITO
円山町と賑やかしい夜の街にありますが、男性2人できりもりしていて、5,000円のワンコース。カウンターで臨場感もあり、ガツンと美味しい。

②konel
同じく渋谷のお店。元AW kitchenのお二人がやられています。店名通り粉ものなどにこだわっていて、こちらもおまかせのみ。

どの店にも共通しているのは2~3人で運営していること。おおきなカウンターが厨房をとり囲んでいたり、臨場感があること。サービスが気持ちよく、場合によっては料理人の方もサービスしたり、気持ちのよい会話ができること。

こんな飲食店が運営できると最強ですよね。

飲食店が担う場というコミュニティ

19世紀、市民文化の中から印象派などの新しい芸術が生まれたパリでは、芸術家が集まって芸術談義を繰り広げたカフェが、文化の熟成に重要な役割を果たしたように、1990年代には裏原のカフェや、2000年代後半にはcraftsanship溢れるロースタリーやカリスマ性のあるナチュールワインのお店が、場(ハブ)という役割を担ってきました。それが、今後はもっとカジュアルに各々の店舗が独自で担っていくような気がしています。

カジュアルというか、オンライン上でつながった関係がオフラインでつながる場が飲食店であり、そんな使い方が今以上にされていくのではないかなと思っています。

人はより容易に流動的に様々なコミュニティに属しながら、そのコミュニティの人と食事をともにしたり、食のプロダクトを買ったりと、オンとオフの境界を曖昧にしながら、食と関わっていくと思います。そんなときにはSNSやnoteが引き続き重要なツールとなり、場を作ることのできる、また自らが発信できる飲食店やオーナーの力がとても重要になってきます。

これ、2011年に私がFacebookのノート機能にメモした記事です。書いたものの、オープン後に場をつくれた自信がなくなったため、公開できなくお蔵入になっていたので、日の目を見させてあげてください。

NYのまとめと今後
2011年10月26日 16:43
知り合いが出会い、話したり、またはそこで知り合いを増やしたり、その店の従業員に身上を話したり。飲食店が果たす「場」の役割というものをアメリカに行くことによって強く考えることになりました。
震災直後に飲食の諸先輩方が見えていたもの、口にしていたことが、ようやく今になって鮮明に見えることが出来るようになった気がします。
春先から通ったスクーリングパッドの中で運営者の子安さんは、そのハブ的な役割を果たすのは今後「スナック」である、とおっしゃっていました。(詳しくは著書「ラー油とハイボール」)
以下、私の実体験を通しての意見です。
アメリカでは「場」の役割をカフェが大きく担っていました。
NYという大都市であっても、みんなお気に入りのカフェがあり、店員と談笑している。
それに対して、日本ではレストランでもなく、ファーストフードでもなく小さな飲み屋がそれを強く担っている気がします。次いでカフェもしくは大学のカフェテリア。(ただし、サードプレイスといわれるカフェではなく、もっと小規模なカフェ。まだまだ閉鎖的だったり、発展段階のような気もします。)
店を経営する立場としては、しっかりとした個のある店舗をつくり、皆が訪れたくなるような場を作ることがすごく必要なのだと今回の視察で感じました。その場にしっかりと根付く店舗になること。
その定義で考えると、出店するのは決して都心である必要もなくて自分が愛する土地でやるのもありなのではないかとも悩みました。
それらを踏まえて私の今後行う店について話します。
私は春先に自分の店を開こうと考えています。
店をやるという小さなことであっても、何かしら「新しい価値観」というものを提供し、少しでも生活を豊かにできればというコンセプトをもっていたい。
そのコンセプトと先ほどの話を合わせて、まずは街で出店し、その土地で愛される店を作っていこうと思っています。ビジネスと商店街的な共存。
飲食をやる以上、もちろん、食材やメニューには妥協しない。ただし店のデザインではなく、店のコンセプトや考え方に共感してくれるお客様が来てくれる。何かしらふらっとその場に来る。そんなカフェのような「場」をつくりたい。
それを広げていきたい。きっと、スターバックスやタリーズの創業者もそんな思いだったのではなかったのでは、と勝手に想像したりもしています。
以上、今回私が考えたことと決意です。

場の定義も8年経ってだいぶ変わってきたような気がします。今後は、場を作ることも一つのスキルになってくような気がしています。


柔軟な働き方

私が東京で働いて一番驚いたことは、料理研究家という方の多さでした。

料理研究家の方々にどんな需要があるか、わからずにいたなかでも、「料理を教える技術」によって、さまざまな仕事をご自身で創り出している姿から、「既存の価値観ではなく、新しい価値観をつくろう」と、自分も刺激を受けました。

そういった新しい価値観を見出そうとするのは、料理人の中にも生まれてきているように感じます。

料理教室に加え、お店のメニューのプロデュースをしたり、自分の食の専門のブランドをたちあげたりといった分野に、昔、飲食業界でバリバリ働いていた人が増えてきました。

また、Mr.cheesecakeの田村浩二さんのように、星付きレストランで働き、ゴ・エ・ミヨの賞をとったような料理人の方がチーズケーキという一つの食材で勝負するというような動きはとても先駆者的ですが、今後こういった方が増えていくと思います。

森枝幹さんも尊敬する料理人の一人ですが、とても自由に行動されています。たくさんの飲食店やプロデュースをしたり、ファーマーズマーケットで立っていたり。

いかに柔軟な働き方ができるか、というのが一つのキーワードになっていくと思います。

2016年のFOOD×ITでとても素敵な動画をみました。 

ロボットが家庭で料理をつくる未来はすぐそこにある、と。

ここでもオリジナリティ溢れるレシピを出せるほどの柔軟な料理人が今後重宝されるのかなと考えています。

最後に

主に3つのことを書きました。

これら、この2〜3月の未曾有の体験をしながら、より強く思ったことです。

場を意識し、コミュニティをもち、テクノロジーや柔軟な働き方をうまく取り入れていく。その先に、次の手が打ちやすくなるような気がしています。飲食業界にとって困難な時期ではありますが、未来を考える良い時期な気がしています。皆で飲食業の未来をよいものにしていきましょう!




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