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【妖怪百科】ぬらりひょんと琵琶牧々

 完全な思いつきだが、なんとなくぬらりひょんという妖怪は洒脱に尺八で鈴慕でも吹きそうな気がする。そんな思いつきから、描いた。尺八というと、武満徹が好きな私としては琵琶を登場させないわけにはいかない。琵琶といえばもちろん琵琶牧々だ。尺八を吹くぬらりひょんと、琵琶牧々を合わせることでノベンバー・ステップスが完成するというわけだ。
 妖怪にも現代音楽にも精通していない方にとっては、どうでもいい話であろうが、我ながらまさに「解剖台の上でのコウモリ傘とミシンの邂逅」であり、ロートレアモンが妖怪界に足を踏み入れたかの如く、シュールで痙攣的な思いつきであった。
 ただ、問題もつきまとう。BGMを作るにあたり、琵琶がない。琵琶が弾けない。琵琶は高い。尺八もまだまだのレベルでありながら今から琵琶を始めるなど、尋常ではない。苦肉の策としてギターでなんとかやってみる。
 ギターという楽器はなんとも良くできていて、それなりにはなる。しかし、あの琵琶のアタック音は難しい。私は琵琶に詳しくはないが、あの力強く研ぎ澄まされたアタック音は他に類を見ない。ギターでがんばるも柔らかさは拭えない。ああ、あの中学一年生の時、なぜ私はギターではなく、琵琶を手にしなかったのかと悔やんでも後の祭りである。(決してギターが悪いわけではない。)
 とはいえ、なんとなくではあるがぬらりひょんと琵琶牧々の間に漂う緊張感と、妖怪音楽を楽しむ洒脱な雰囲気は表現できている気がしたので、ムービーとして公開した。

 本作品はちょうどNOTEを更新していない時期の作品となり、現在バックナンバー感覚で過去の動画として紹介しているわけだが、最近はペンによる点画ではなく、水彩で書いている。よって、貴重な点が作品とも言えよう。新しい動画の尺八もずいぶん上達しており、音のキレもこの頃とはずいぶん違い、比較対象としても面白いかもしれない。
 最近の作品とも合わせ楽しんでいただければ幸いである。


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