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Inspired by a book: "広域思考" 2024.7

はじめに

この文書は一般的な書評ではなく、対象の書籍を読んで私が考えたことを綴ったエッセイである。よって、書籍の詳しい内容は実際に対象の書籍をお手に取ってご覧いただければ、と思う次第である。

今回の対象書籍

発売が予定されていた時にamazonで予約し、2024/7/29に自宅に配送された。たまたまこの日は外出の用事があったため、投函されていた書籍を手にして用事を済ませに出かけた。
用事が終わった帰路、東京メトロ半蔵門線神保町から東急田園都市線三軒茶屋までの間に速読した。
私の読書のスタイルの一つとして、

  1. まず目次・「はじめに」を読んで全体を掴む

  2. 次に、章・節のタイトルをスタートから流し読みし、気になったパートは詳しく読む

というものがある。文体や書籍の性質によってこの読書スタイルがマッチする場合・しない場合とあるが、今回は上記の読書スタイルで中身を掴んだ。

読後のInspiration

まず、この書籍の主題は「交通機関の活用のすすめ」と「生活圏の拡張(広域思考)のすすめ」だ。
そして、この主題は自分が既に実感し、実践していることなのだが、既に実践している私のような人間にとっては、自分の考え方を客観視する材料となる。
私は、自分の考えの正しさは特に求めてない性格の持ち主だが、自分と同じマインドの人がプロのYouTuberとして視座・思考を言語化してくれたもののひとつがこの書籍で、「あながち自分のマインドも過度に変ではないのかも」と確認する材料になったと感じた。

よって、この後綴る私のマインドのようなものを既に実装済みの人は、書籍を読んで共感するかもしれない。一方で、何をどう転んでも外には出たくない、移動すらしたくない、と頑なに思う人には全く見向きもされないと思う。
万人が移動好き、外が好きとは限らないので、自然なことではないかと思うが、ちょっとでも動くこと、外に出ることに興味があり、「今の普通の生活のルーティンに彩りを加えてみたい」と思う人には、「移動すること」「生活圏を広げること」で得られる変化のヒントが見つけられると思う。
書籍に綴られている各YouTuberの実体験に基づく話からは、もっと、いろんな人に動いて日々を楽しんでもらいたい、という著者たちの思いが伝わってくる。

この書籍の著者たちはYouTube動画の制作・発信によって培われたマインドをマネタイズし、多くのフォロワーを持っている。こうしたプロの実績が裏付けにあるので、書籍のメッセージには相応の説得力がある。動画制作者自身の自己満足ではなく、受益者に対する価値提供を強く意識して、視聴者から高い評価を受け、「人を動かす」動画を制作している。
市井のいち趣味人が、誰に届くでもない呟きをネットに撒くのとは訳が違う。「何か伝えたいこと・伝えた上で何かを動かしたいこと」を内に秘めていても、表現力・説得力・戦略性などが脆弱では「いち趣味人の呟き」としてネットの中の藻屑となる。その点は私が個人的に今後どうしたいか、という壮大な話ともリンクしていくポイントだが、今回はまず書籍からinspireされて思ったことを綴っていく。

わたしのマインドセット

一箇所にじっとしていられない性質の私だが、どのように「じっとしていられない」マインドが働いているかを分解してみる。
なお、私は東京都23区西部在住の40代後半、独身男性という基本情報を念頭に置いて以下のマインドセットを眺めていただきたい。

  • 著しい距離感バグ
    新幹線・飛行機・高速バスで乗り換え無しで行ける場所は、私にとって「近場」。東京都在住者が普通に感じる横浜のポジションは、私にとって名古屋・大阪である。同様に、大宮の位置は私には仙台・盛岡が相当する。つまり、一般の東京人が横浜に行く感覚で私は名古屋に行くし、大宮に行く感覚で仙台に行く。

  • マクロとミクロの使い分け
    私は前述の読書スタイルのように、まず目次を眺める感覚で日本国内を俯瞰する。ここでいう「俯瞰」は地図を眺めるだけでなく、実際に現地に足を運ぶことを含む。2018年に沖縄を訪問したことで、私は全47都道府県に少なくとも一度は足を踏み入れたことになったが、まだ未踏の地は全国にたくさんあるため、2020年以降は主要な都市・地域を「目次を眺める感覚で」ざっと駆け抜けて、距離感・位置関係を身体にたたきこむことを心がけた。
    目次を眺めるように全国の土地勘をダイジェスト的に身体に叩き込んだ後は、全国を俯瞰的に巡った過程で興味を持った地域にフォーカスしてミクロに深掘りを行う。糸魚川・小谷(大糸線)、富山、松本市は私がミクロな深掘りをマニアックに追求している地域の代表だ。その他にも宮古・広島・津・群馬・青森等々、一度で飽き足らず何度も足を運ぶ地域があるのだが、私の興味の琴線に触れる何かがある地域に関しては、ミクロに深掘りすることを楽しむ。

  • 一人旅はマニアックに
    誰かとの旅は自分の興味関心を深掘りするリソースが割けない。よって、地理歴史、産業経済、地方自治といった自分の興味関心を探求したい場合は一人旅に限る。仕事でもないのに県庁や市役所を目的地にする県外人はなかなか居ないだろうし、こうした旅に興味を持って同伴してくれる者も居ない。仕事でもないのに列車に乗ってどの駅で何名乗降があるか、路盤・道床の状況はどうか、路線の維持管理コストはどれだけのものか、といった関心で地方交通線(いわゆるローカル線)に乗る人はどれだけのものだろうか。よほど同じ関心を持っている人でないとこうした旅に同伴してくれる人は居ないだろう。
    このように、自分の関心を動機にした旅は自分の知りたいことを追究する動機が原動力になって、誰もついてこれないような不可思議な動きをする。同伴者に気を遣うエネルギーすらもったいないと思うので、ひたすらマニアックに一人旅を行う。今は、これが生きていて最も楽しい瞬間かもしれない。

  • 誰かとの旅は「おもてなし」ファースト
    一人旅はとことんマニアックに、わがままに動き回るが、同伴者が居ることが確実な場合は徹底して「同伴者の満足度向上」を追究する。私の友人には極度にマニアックな人はほぼ居らず、「普通の感覚」を持っている人しかいない。そうした方々には、一人旅で得た知識を間接的に「おもてなし」に活かし、同伴者にとって最高に満足してもらえる旅を提供する。一方的に蘊蓄を披露するでもなく、相手の興味関心に合わせて必要十分な情報を相手の熱量に合わせて提供し、移動・旅の「良い思い出」を持ち帰ってもらえることに最大限のエネルギーをかける。蘊蓄を楽しんでもらえる人には私の乏しい知識を披露することもあるが、ここは「プレゼンテーション能力」「エンターテイメント力」を生かす。ただ教科書的に解説するのではなく、具体例やストーリー、例え話などを交えて「楽しい旅のスパイス」にしてもらえるような話題提供としての蘊蓄を語るようにしている。「よく知ってるね」という自分の知識の多寡への礼賛を求めるのは、私は野暮でつまらないと思う性質(たち)なので、話題の受け手にどれだけ楽しんでもらえるかを熟考して場を盛り上げられるように心がけている。実践することは容易ではないが。。

  • 普段使いの電車すら「旅」
    自分が住む最寄駅から出る路線にふらっと乗るだけで十分に「旅行」になる。遠出するだけが旅じゃない。そんなマインドで、在宅勤務続きの日々でも夕方にふらっと出かけることはよくある。
    私の在住圏を走る鉄道は東急電鉄なのだが、軌道線(路面電車)の世田谷線もあれば、住宅街を3両でコトコト往来する東急多摩川線・池上線もあるし、大幹線の東横線・田園都市線は主要駅だけでなく住宅街の各停しか停車しないような駅に降り立ってその地域の生活感を楽しむこともいい。大井町線・目黒線も急行が走るようになるなど幹線の趣を持つようになったが、街は20,30年前と変わっていない風情を残すような場所もあり、探求し甲斐がある。
    自分の生活圏の身近だが、多頻度に歩く機会がない場所をふらっと探求して、「その土地の住民目線」をお試し体験する感覚は個人的には好きで、気軽な非日常体験ができ、ストレス解消にもなる。

以上が、私が「広域思考」にinspireされ、旅や日々の移動の礎となっているマインドセットを分解してみた結果となる。

なお、2024年初頭(2月)に私が綴っていた「旅の視座」についても参考として再掲しておきたい。基本的なマインドはあまり変わっておらず、時を経るごとにマインドの解像度が上がってきているような気がする。

おまけ

誰かに会いにいくことが目的の旅もいいものです。会う場所は別に自分の生活圏に閉じる必要もなく、会いたいなら、会いに行きます。

2024.7.28 京都の友人に会いに行った帰りの東海道新幹線京都駅

仕事疲れも、移動すれば解消できる。もし在宅勤務でなくオフィス勤務になっても、私にとっては通勤路はリフレッシュ街道。私はそんなマインドの持ち主です。

2024.6.13 在宅勤務で疲れて気晴らしに東急線(大井町線二子玉川)

生活圏以外の土地で、「通ぶる」のも悪くないように思います。それが本当に「通」の流儀なのかどうかはわかりませんが、「通」であることの裏付けを持って「通ぶる」と、誰かを旅先に案内した時のエンターテイメント要素が加わって楽しみが増すように思います。

2024.7.6 富山駅の西町大喜の中華そば+ライス+生卵のゴールデンセット

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